「じゃ行くか・・・」
喫茶店を出て15分位の距離にアパートはある。その間俺は逆に裕美のアメーバのことを訊いてた。
「・・・いい年こいてアメーバなんておかしいけどさ」
「年齢なんか関係ないよ、鮫君まだまだ若いじゃない」
「っていうかあのサイトって中高生がメインじゃないの?」
「おじいちゃんとかおばあちゃんとか高齢の会員さんもいっぱいいると思うよ」
「でもいままで一度もそんなヒトからコメント来たことない」
「ジャンルが違ってるからじゃない?鮫君のブログのジャンルって?」
「『大学生』と『一人暮らし』。って裕美は?」
「『お料理』と『片思い』かな?」
「え!?裕美って片思いしてるヒト・・・いたの?」う、嘘!、裕美に片思いの相手がいる!?じゃ、俺って裕美の何なんだ?訳分かんなくなった。ぶちのめされた気分だし、止め処ももなく落ち込んできた。・・・片思い?
「早とちりしないでね、もうジャンル変えないといけないんだけど変えてなかったの」
「・・・何が?」
「私ね、」
「う、うん」
「速記部で鮫君見たときから・・・」
「速記部?俺?」
「もう!」
「な、何?」
「バカ、知らない!」
「ゴメン。・・・でも俺ってそんなに変な奴に見えたとか・・・?」
「・・・」裕美は黙ってる。俺、知りたいよ、裕美が片思いしてる奴がいるなんてこれまで知らなかったし、そうなると俺の存在って完璧なピエロになるじゃんか。あー、真っ暗・・・。もうどうでも良くなってきた。裕美に帰ってもらおうか・・・。
帰りがけによく寄ってるスーパーが見えたので、気分を何とか取り直し、
「何か買ってく?」
「鮫君、何が食べたい?」
「・・・ラーメンとかうどんとか」
「そんなのすぐ出来ちゃうでしょ!いい、私が決めるから」と言ってスーパーで裕美はスパゲッティとミンチ肉・トマト缶・野菜を買った。そのまま二人は黙ったままレオパレスに着いた。
いや、裕美に片思いの相手を聞きたかったのだ。俺と会ってる以外にそんな奴は見たことがなかったし、でも相手の確認だけはどうしてもしておきたかったのだ。
アパートに着いた。
(続く)