インバウンドがコロナ前に迫る勢いである、中国人旅行客が以前通り来ればはるかに超すと言われている。
海外旅行者が日本を選ぶ理由の一つが「おもてなし」文化である。
 
海外の方には日本の心配りのある接客がとても印象的らしく、それがリピートに繋がっている面もあるようだ。
そして、その期待感もあり、企業によってはより高い接客レベルを現場に求めている。
接客サービスの質の高さは何もインバウンド、という時から始まったものでもなく、数十年前から言われていることで、私が昔いたコンビニ業界でも常々言われていたことだ。
国内では当たり前であったサービスがインバウンドの増大によって、より顕著になったというのが正しいであろう。
 
話は戻すが、おもてなし=高い接客レベルが平準化され、より高みを目指す「インフレ」が進み過ぎている。
もちろん、従業員自らが進んでやっているのならいいのだが、多くは企業内の人事評価制度により無理やりやらされている面が否めない。
その過度な押し付けが、仕事の増加を生み、顧客はモンスター化し、過度なサービスは当たり前という風潮を作り、その要求にこたえられない真面目な従業員が退職してしまうという悪循環を生んでいる。
 
ここではっきり言いたい
「おもてなしのインフレはやめよう」
小売業界を離れて思ったのだが、顧客の大半は過度の接客サービスを望んでいない。どちらかと言えば、簡素でスピーディーな接客を求めている。
スマホ決済で素早く会計して買い物を終わらせたい、それが今の時代の買い物スタンスであろう。
もちろん、温泉旅館のような心配りのある接客がふさわしい業界もあるだろうが、多くは上記のようなスムーズに会計して買い物・支払いを終えたいという、タイパを重視する風潮がある。
意識改革を進めるには難しい面もあろうが、過度な負担を強いらないことが従業員の定着に繋がる、ということもお伝えしたい。