不況だ、経済が最悪だ、こんなにひどい状況はなかった、などと言われて、いったいどのくらいの年月が経過したのでしょうか。
バブル崩壊から数えれば、もう20年以上になります。 でも、そうした悲観論こそ世の中に振り回されている例、大きなメディアに間違った情報を植え付けられている例かもしれません。
取材をすればするほど、私はそんな実感を強くしています。 メディアに報じられているほど、世の中が言っているほど、今はひどい時代なのでしょうか。
ある経営者は、しみじみと言いました。
「今の時代は、日本の歴史の中で、最も恵まれた時代じゃないか。 最も豊かで、最も自由。 かつてこんな時代が、日本の歴史にあったか、調べてみたらいい」
彼の主張はこうです。 たしかに経済は低迷している。 しかし、不況や株価低迷で命が取られるわけではない。 だが、過去を見れば、飢餓に苦しむ地方都市を救おうと青年将校が決起したり、都市のど真ん中に空から爆弾が落ちてきた時代があった。
それは、ほんの数十年前のことだ。 それを考えれば、これだけ平和な状況で文句を言っていてどうするか、と。
終身雇用や年功序列もなくなり、雇用の安定性が失われた、という声もありますが、ある大学教授はこんな話をしていました。
そもそも日本の歴史において、終身雇用や年功序列が実現していたのは、1980年代からの20年ほどに過ぎない。
たった20年だけ実現していたものが、あたかも日本の文化であるかのように伝えられていたのが、おかしかった。
言ってしまえば、あの時代が異常だったのであって、今が通常。 勘違いをしてはいけない。
一方で客観と主観の重要性を語っていた作家がいました。 ある人にとって10万円は大したことがないお金。 でも、ある人にとっての10万円は本当にありがたいお金。
同じ10万円でも、人によってまったく違って見える。 時代についても、それと同じで、大きな幸せを実感できる人も、いつまで経っても幸せが実感できない人もいるのです。
——自分で今を判断していますか?
『成功者3000人の言葉』上阪 徹(著)