もうひとつ、世の中で言われていることは本当なのか、と自分自身を疑う経験を私はすることになります。
独立したばかりの起業家や小さな企業の社長に取材をする仕事でした。これが想像をはるかに超えた面白い仕事だったのです。従業員が数人しかいない。狭くて古くて汚いオフィス。社長の給料はとんでもなく少ない・・・・・。
しかし驚いたのは、取材に訪れた私やカメラマンを歓迎してくれた社長たちの目は一様に輝き、自分たちのことを本当にうれしそうに語ってくれたことです。ほとんど例外なく、誰もが幸せそうでした。
社会でエリートと呼ばれているひとたちよりも、はるかに幸せそうな人も少なくありませんでした。このとき気づいたのでした。もしかすると、社会的な地位を手に入れることと、幸せになることは、まったく別物ではないか、ということに、です。
実際には、社会的な地位を手に入れても(例えば有名企業に勤務している)、必ずしも幸せそうな顔をしている人ばかりだと限らなかった。
多くの人がうらやむような企業であっても、です。社会的な地位を手に入れることができれば、必ずしも幸せになれるわけではない、ということです。
では、多くの人は、何を求めて生きているのでしょうか。
地位を手に入れることなのか、それとも幸せになることなのか。そこを間違えてしまっては危ない可能性がある、と思うのです。
もっといえば、社会的地位などに関係なく、幸せは存在するということです。
高校に講演する機会があって、私はこの話をしました。
うれしかったのは、聞いてくれた高校生の多くが、この話が最も印象に残ったと言ってくれたことです。
ある男子生徒は、こんな言葉を手書きの男の子らしい字で寄せてくれました。
「大切なのは、成功よりも、幸せになること。衝撃でした」
━━単に成功を目指していませんか?
『成功者3000人の言葉』 上阪 徹(著)