リーダー、経営者は人前で弱音を吐くな、暗い顔をするな、元気であれ!
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起業して、しばらくした頃、思うような業績が上げられず悩んでいた時期がありました。
社内を見渡しても、社員はどことなく元気がなく、活気が感じられませんでした。
私はぶらりと会社を出て、渋谷の喫茶店で
「これからどうしようか」 と考えました。
どうすれば業績が上がるのか、社員を元気づけるにはどうしたらいいのか。
いろいろと考えたのですが、解決策はまったく思い浮かびません。
結局、なんの実りのないまま喫茶店を出て、駅の階段を歩いているとき、
「嶋津社長!」 と知り合いの女性から声をかけられました。
「おう、久しぶり」 と挨拶をし、二人でちょっとお茶を飲んだのですが、そのとき私は相当参っていたらしく、その女性に
「最近、会社がさぁ・・・・・・」 と悩みを打ち明けました。
正直言えば、慰めてほしかったのです。
ところがその女性は、
「いまの嶋津社長には、誰もついてきませんよ」 とキッパリ言ったのです。
「えっ、どうして?」 思わず聞き返してみると
「そんないかにも悩んでいます。疲れていますという顔を社長がしていたら、誰だってイヤになりますよ」 と彼女は言いました。
私はドキッとしました。
たしかに、私は悩みだらけの疲れ切った顔をして、髪の毛もボサボサだったのです。
「そうか、まずは自分が元気な顔をしなければ、会社は元気にならない。部下たちは自分を映す鏡なんだ」
私はコンビニでムースとブラシを買い、髪の毛をビシッと整え、さっそうと会社に戻り、大声で
「お疲れさま!」 と挨拶しました。
それだけのことなのですが、不思議なことに社員たちも少しずつ活気を取り戻し、業績はもち直していきました。
このときほど、「周りを変えたければ、まず自分が変われ」 という言葉の重さを意識したことはありません。
そのことに気づかせてくれた彼女には、いまでもとても感謝しています。
じつは、その女性こそが妻なのです。
何かあるたびに、私はこのことを思い出します。
すると、たいていのイライラは収まっていきます。
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「怒らない技術 2」 嶋津 良智 フォレスト出版