ここのところ予約が取れなくなっていた大好きな日本料理の店、晴山に久々にお邪魔する。
(まぁ予約が取れないと言っても、自分の場合 食べたいなぁと思うと2/3日前とか前日とかにキャンセル狙いで電話してたりするので、若干なめてる観否めないのだが、食べたい時がうまいときだからなぁ・・・)
 三の橋から慶応女子に向かう道を進むと左側にアンティークを扱うお店があるが、その傍らにある階段を下りていくと・・・お目当ての晴山は密かにその輝きを放っている。
 このstreetは以前から なぜか(失礼!!!) レベルのたかぁい店が多く、同じ日本料理の菱沼さんも昔いらっしゃったところだし、中華の巨人 桃の木もこの通りで営業なさって珠玉の料理を出されている。
 店に入ると、いきなり目の前に広がるキッチンスタジオ!全面ガラスの向こう側で料理人の方々が丁寧な仕事をなさっているが、すぐに顔を上げて‘いらっしゃいませ‘と声をかけてくれる。 そして若き店主 山本さんがその人懐っこい顔で出迎えてくれる。。。こんばんは。
 いつもこの笑顔にやられる。

 店の右奥に広がるテーブル席もまるでフランス料理のレストランのように素晴らしいのだが、今日は左側のカウンターへ。 最初の一杯を楽しんでいると、山本さんがいらっしゃる。
‘どうも・・・大変ご無沙汰しております。本日も精一杯勤めますのでよろしくお願いします。お元気ですか?‘   もうこの笑顔でこの口上をいただいてしまうと、心していただきますとしか言えない。 今日も気合い入れていきます。 よろしくお願いします。・・・

 まず出てきたのはアスパラと長芋・ホタテガイの梅肉和え。素材的にも梅にも早くも春の気配。酸味がやさしくて食材をうまく包み込んでいる。食欲をそそられるお皿のスタートに
期待は高まる。
 次に若布しんじょのお椀。上にフキが乗っている。これも若わかめといいフキといい春の訪れを感じさせる素材のチョイス。一口すすってみる・・・ う~~ん素晴らしい。やさしい口当たりから口の中いっぱいに鰹だしの香りが広がり、それが上品に鼻に抜けていく・・
山本さんのお椀はいつもこういう感じ。 どうだ!じゃなくてお客様、いかがですか?という味わい。そして若布しんじょ。自身初めての体験だったが、わかめの香りを白身のすり身が見事にまとめていて素晴らしかった。 これこそJapanese consomme! 

 お椀のだしの余韻が長く続き、後ろ髪を引かれるような感覚の中運ばれてきたのはお造り。かつおにアマダイ・スミイカ・・・昆布の香りが少しだけ効いたアマダイの味わいは絶品。そして美しいスミイカ。いい香りがして、酒が進む一皿だ。

 ここで山本さんが現れる。今日もおいしいですねとお話すると、照れたような困ったような顔をしながらありがとうございます。とにこっと一言。山本さんは岐阜で8年腕を磨かれた後、若干30で一旗揚げようと上京。 やるなら、港区内でしかもちょっとわかりにくいところでいいところと場所にこだわってスタート。この場所でこのレベルでこの価格設定は驚異的じゃね? と思うのだが、ご本人は いえまだまだ 駆け出しですからとあくまで謙虚。いやいやあなた・・・すごいですから。 料理にもこのお人柄が現れているようで、本当に気持ちがいい。。。。。。

 ここで日本酒にshift! 今日は山本さんご出身の栃木の酒大那から。アナゴの炙り寿司が出てくる。 上にきれいなグリーンが・・・なんだろう? フキの薹?トロっと解ける食感にアナゴのしっかりした旨みが追いかける・・とフキの薹独特のわずかな苦みがその味わいをさらに重層的にしてくれる。 こういう苦みをわずかに加えるあたりが本当に素晴らしい。センスだなぁ。。。
 
 焼き物は鰆の西京焼き! これにウドとソラマメの揚げ物が添えられ、横にオレンジ色の憎いやつ。 そう野菜はこのおろしカラスミでどうぞだって。。。芸細かすぎ!
鰆は分厚い身に見事な塩梅で火が通され、味付けもあくまでやさしく素材の味を引き立てている。 野菜は・・・あくまで上品に、でもカラスミで印象深く味が際立つ。 酒進んでまうがな。。。 ここでお酒は 獺祭へ。 こちらは日本酒も充実しているが、ワインも高いレベルのものが揃えられており、ボトルでオーダーするとこれがえっ!というきれいな木製のワインセラーに入って登場する。。。。酒もあくまで上品に食べ物を引き立てるものとしてだが、そのものもおいしい酒の数々。飲みすぎに気をつけよう。

 と、ここで登場山本さんのスペシャリテ。 黄金の皿に盛られて出てきたのは・・そうジャガイモの千切り塩オイルサラダ。 生のジャガイモを千切りにすることで得られる軽やかでしゃきしゃきとした食感に、魚卵を思わせる風味のオイルがからむ。 初めて食べた方は大体なんなのか最初はわからず、目を白黒させるのが楽しかったりする。 これもっとどかっと食べたいなぁといつも思わせながらメイン前のアクセントをつける大好きな一皿だ。

 そしてメインは牛頬肉煮込み!鹿児島産タケノコとウルイを炊いたものが添えられる。こちらの肉のセレクトはいつもそうだが、赤肉のしっかりした決してしつこくないあくまであっさりとした味わいで・・・美しいやさしい味わいに早春を思わせる野菜が付け合わされ・・・いや本当にうまい。今年は筍前線が桜前線にはるかに遅れてしまったなぁなんてことを話しながら食べる。。こんなことを話すきっかけを与えてくれるお皿がいつも出てくるのがこのお店の魅力。うまいなぁ。。。いろんな意味で・・

 春の香りはさらに続く。締めは岩海苔茶漬け、平目の酒蒸し添え。 口に含むと岩ノリの香りがふわぁ~っと広がり、これを軽やかなカツオだしがおいかける。いや~参りました、
本当に日本人でよかった。

 デザートは上品なまるい味わいの和三盆糖で包んだとちおとめ白ワインジュレがけ。トチオトメの酸味を見事に優しく包んだ味わいにほうじ茶をしみじみと味わって本日はこれにてご馳走様。

 いつもそうなのだが、山本さんの料理は日本の素材の持つ素材本来の味を、さりげないしかし確かな料理の腕で丁寧に組み立てた味付けで 最大限に引き出し際立たせて、日本の四季を満喫させてくれる。 今日は早くも春満開の味わいで、気持ちまで明るくしてくれた。

 新進気鋭の料理人山本晴彦さん。。。(ん?山?晴?ひっくり返すと・・・?なるほどぉ~~~)
 あくまで上品に、あくまで謙虚に・・・いつ来ても素晴らしい、日本人である幸せさえ感じさせてくれるお店、晴山。 いつまでもこの幸せを味わわせてほしい 私がはまっている日本料理店だ。。。