安さのカギは“九州産”木材!
マイホーム&家具の革命児たち
今回のぐっ!ジョブは、世界的な木材の不足と高騰、
いわゆる“ウッドショック”に独特のアイデアで対抗する2つの企業に迫る。
輸入木材が値上がりする中、地元九州の木を活用して驚きの低価格を実現する住宅メーカーと、
新たなインテリア建材の普及を図る製材所。
ニッポンの林業再興にも期待をつなぐ“地産地消”の工夫と発想とは?
鹿児島県霧島市の住宅メーカー「メック・インダストリー」は、
100㎡の平屋で約1200万円と、一般的な格安住宅より2割程度安い住宅の販売を始めた。
安さの理由は、材料調達から加工・販売までを自社一貫で行い、
中間コストを大幅にカットしたこと。住宅はユニットごとに分け、
自社工場内で内装まで作り込むことで工期も大幅に短縮した。
もうひとつのポイントが建材で、工場に近い南九州から大径のスギを調達。
これまでは、加工に手間がかかるため避けられがちな素材だったが、
独自技術で強度の高い特殊合板に加工し材料費の圧縮に成功した。
同社は、年間100棟の住宅販売を目指す一方で、
オフィスビルやマンションの天井材の生産も開始。
年間5万5000㎥の原木を消費することで、南九州の森林資源の循環、
林業の活性化も目指している。
一方、“家具のまち”福岡県大川市では、
国産木材「センダン」を使った家具が注目されている。
センダンはもともと九州に自生する木で、成長速度はスギやヒノキの3倍。
輸入木材に比べ価格も2割安く、木目の美しさと強度を併せ持つ優れものだが、
樹形が複雑で加工しにくくこれまで使われてこなかった。
ところが、地元の製材所「ウエキ産業」の植木正明会長は、
不要な芽を取り除く「芽かき」の方法次第でまっすぐに育つことに着目。
5年前から九州各地で植樹を始め、自社でオリジナルの家具を作るなどの普及活動を始めた。
大川家具工業会もこの動きに共鳴し、これまでに合計1万本を植樹。
20年後には大川の家具の5割をセンダンでまかなう計画だという。