任務分析で関係者のベクトルを合わせる
東日本大震災の復興支援業務で、組織力を発揮し注目された自衛隊ですが、平素から
自衛隊員は、国土防衛や災害派遣などの究極の事態に備えて、組織力を発揮して任務が達成できるように教育訓練を受けています。
特に、陸上自衛隊は、陸海空の3つの自衛隊の中でも、組織的な部隊行動を取ることが要求されます。その際、すべての幹部自衛官が意識している考え方が「任務分析」です。
上級部隊が任務を達成しやすいように、幹部自衛官は自分の所属している部隊の地位と役割を確認します。与えられた任務に基づいて、「目的」を確認し、「目標」を明らかにするわけです。
これを会社に当てはめれば、会社全体の方針を理解したうえで、自分達の部署、部門で引き受ける役割を明確にするということです。
全体の方針を理解し、上位組織の役割を知っていなければ、この判断はできません。
一般方向を確認せよとも言われました。
分かり易い例を挙げます。山で遭難したら、北極星は動かないので、北極星に向かって歩けば北に向かって移動していることが保証されます。
部隊が行動する時、大局的に見れば、組織として北に向かっているのか? 民間企業で言えば、ベクトルを合わせるということです。
任務分析の思考プロセスを踏むことによって、一貫性のある組織的な行動が取れます。状況判断(意思決定)を行う際に、判断のブレも少なくなります。
リスクマネジメントの観点からも、有事に指揮官(リーダー)が負傷するとか、あるいは、最悪戦死しても次級者が柔軟に職務を代行できるように、仕組みができているのが自衛隊なのです。これこそ組織力発揮の根幹だと思います。
民間企業向けに分かり易く翻訳してみると、キーワードは『上司の期待に応える』ということです。上司の期待が何なのかを確認し、目標を設定します。
次に、具体的に目標設定を行います。必ず達成しなければならない目標と達成することが望ましい目標に区分して、目標を設定する訳です。
必ず達成しなければならない目標はMUST目標です。なんとしても死守しなければならない目標です。
そして、達成することが望ましい目標として、チャレンジ目標(ストレッチ目標)も設定します。
私は民間企業に移ってから、何度か転職を経験していますが、強い組織ほどトップの方針は末端社員にまで行き届いていました。
例えば、富士ゼロックスは、TQC(Total Quality Control/全社的品質管理)が徹底されている会社でした。方針展開と言う言葉を使っていました。社員は直属の上司の判断だけでなく、そのまた上の上司が何を期待しているかまで考えていました。
会社第一(カンパニーファースト)で考え、行動できるように訓練されている組織は力強いのです。それは、メンバーが組織全体の目的を理解し、目的の達成に向けて、メンバーそれぞれの立場で最善を尽くす取り組み姿勢を持っているからです。
リーダーであるあなたも、「上司のさらに上司」の期待にまで目を向けて、部下に指示を出すことを目指すべきです。
自衛隊では「二段階上のレベルの役職で任務を考えると、組織全体の任務、期待されている役割がよく分かる」と言われました。有事に、最悪連絡が取れないことまで想定して、上司の立場になって考えて行動するわけです。
自律して行動できる社員、メンバーは頼りになります。なぜでしょうか?
それは、組織の方向性を理解して行動してくれるから、一人で行動できるなら独断専行もある程度許せるということです。つまり、ある幅の中で意思決定して行動してくれることが保証されるからではないでしょうか。
民間企業で、営業現場とか製造現場とかある職域での専門家、エキスパートになると、この道一筋となって、確かに専門家ではありますが、こんな笑えない話も聞いたことがあります。
課長へ昇任をさせたい候補者がいる。面接をしてみて、課長になったらとか、経営者目線を持てということで期待を込めて「これからの営業本部はどうあるべきか?」と質問しても「私はこれまで担当しているお客様に気に入ってもらうことだけ考えてきたので分かりません。」
特定業務の専門家であっても、視野の広さや高い経営視点を持てるかが今後必要な要件になっているということです。
自衛隊で言われた「二段階上の職位で考えて行動しろ!」は、民間企業でも同じなんだと実感したことはいうまでもありません。
企業のトップの関心事は、増力化、省力化、CS向上、コンプライアンス向上などこれらの期待、要望にどう応えるかです。
ポイント:「上司の期待を確認し、行動せよ!」
