いい年をした義理の息子に自己破産させ、給料を巻き上げる男、それを家庭に入れた母親。
●●が私に見せたのは、想像を絶する世界だった。
私も親の離婚を経験していた。
母は、私が小学生の頃に離婚した。父は脳天気なちゃらんぽらんというか。常にふざけていて、まともではないなぁと物心ついた頃から思っていた。父が度が過ぎた態度をとるようになり、母がすこし気位が高いところがあって衝突を繰り返し、我慢できなくなって飛び出した形だ。母は自分の実家に私と兄を連れて戻り、初めから今に至るまで男なんぞ全く作る気配もなくストイックに働いて、ひとりで子供二人を育て上げた。
兄は勉強したくない、せっかく卒業するのにわざわざ進学なんてよくするなという考えで、高卒で就職したものの、遊ぶ金がなくて結局考えを変え、独学で資格を取得して都内に就職し、独身貴族を謳歌している。
私は奨学金を借りながら大学に進んで、なんやかや失敗を繰り返しながらも、大学で学んだことを機軸に就職した。やりがいのある仕事に恵まれ、独立する程度にスキルアップできた。
兄と私は全く話さない頃があったものの、たまに、急に兄が歩み寄ってきてゲームをしたり外食をしたり。お互いに大人になってからは自然と毎日のように連絡を取る程の仲になっていて、母が嫉妬するほどだ。
愛にあふれているとまではいかないが、家族の仲は悪くない。
だから●●の親の話を聞いたとき、驚いた。親は選べないし、同情をする。
反面、その生活に長年身をおいていたのだと思うと、ぞっとするほど深い谷底を見下ろしているような気分になった。
そしてそのかつての巣窟に、私は子供を連れてきてしまった。