●●が有給をとって、半年ぶりに2日間休めると言っていた。
離婚するのかしないのか、子供をどうするのか。そういったことを静かに一人で考えて、電話すると言った。
私と子供に、そう約束した。
その初日、彼は12万を越える最新のスマートフォンを無断で買った。
前に使っていたスマホは3万もしないものだった。2年前に購入して、最近調子が悪くて近いうちに買わなければならないとは言っていた。
子供に電話をすると言った約束の日、彼は休みなのに学生たちと店にたむろして、新しいスマホでゲームに興じていたそうだ。
彼が今、欲を満たす方法はなんだろう。
●●の欲しいもの。
車、電化製品、ゲーム。
けれど金はない。車もゲーム機もパソコンも、ブラックリストに載っている以上は割賦契約を結べない。その中でもできることは、ゲームができる携帯電話の割賦だ。携帯電話の料金だけはなにがあっても払い続けていたから、ブラックリストでも携帯キャリアの割賦は契約できる。おかしな話だが。
その最後の砦に彼は最高に高いものを選んで飛びついたのだ。
4年間の48回払い。
単純計算で月々3000円ほどだ。月3000円は安いと思うかもしれない。けれどその契約をした瞬間に使った金は3000円ではない。
12万だ。
私の母への返済もせず、子供へ約束した電話もせず、衝動のまま高いスマホを買って遊んでいた。
翌日、彼の二連休の最終日。彼が二度口座からコンビニで金をおろしていた。日中に4000円、深夜3000円。手数料はあわせて300円。
日中に4000円を握りしめて友達と家電量販店へ行き、おそらく新しいスマホの周辺機器を買って、金が足りなくなって、夜になって3000円おろしてスーパーへ立ちより、同僚の家へ。酒だろう。
バカな男だ。
ほんとうに、バカな男だ。