●●は金を使っても欲を昇華できたことがないのだと思う。
たとえば。
彼はハイブランドの2万円のTシャツを持っている。私が結婚当初に必要なあれやこれやに貯金を使っていた裏で買っていた、私にとっては曰く付きの代物だ。
ただのコットン100%の布。
身につけたときにプロテスだとかリフレクとかバイキルトみたいな効果を得られるわけじゃない。有名なロゴが、機械によってプリントされているただの布だ。
強いて言えば乳首が透けるほどには薄い。
シルクスクリーンの過程を知る人なら、バカバカしいと分かるはずだ。
このブランドが好きですよ、買えるお金ありますよ、中年だけど若者に人気のブランドを粋に着こなすナイスガイですよと表現はできるだろう。まあ、精神的なプロテスくらいはかかっているのかもしれないが、極論を言えば車にひかれたらただではすまない。
それを、ブルゾンだとか高額なものは買えないからと手頃なアイテムを選んで、ない金を出して買う。Tシャツに満足できない欲望が次の品物を探る。彼の消費行動は不毛だ。
こんなこともあった。
上の子を妊娠中のクリスマス、彼が好きなジョーダンの限定の靴をプレゼントした。
彼はあちこちと少ない荷物で転々として、服があまりなかった。スニーカーが好きだったから、靴がちゃんとしてればそれなりに見えるだろうし、衝動的な安物買いもしばらくはしなくなると思って選んだ。なににでもあわせやすそうな黒のバスケットシューズ。ある服でコーディネートを楽しめると思って。
けれど彼は数日後には、暇をみては靴に合う服をショッピングサイトで探して、自分の欲をさらに刺激する。金がない中でも満たされたくてファストブランドの粗悪品を買う。粗悪品に満たされない欲がまた次の標的へ。ループだ。
ちなみに私へのクリスマスプレゼントはなかった。