私は、とあるファストブランドが大嫌いだ。
中にはいいものがあるかもしれないが、私の知る限りは、質が悪く着心地が悪い、長持ちしない、形が悪い。そんな印象しかない。これが日本発のブランドだというのが尚更嫌悪感を抱かせる。海外資本の方が品質がいいというのは悲しい限りだ。
服を買うなら、これだ!と思って買って、これだ!と思って着たい。
すべて自己満足だし、高価なわけではないけれど。
捨てる前提でものを買いたくないし、お金を使う時は納得したい。
何年も愛着を感じて着られて、洗うことも、畳むことも、衣替えで衣装ケースを覗いたときも、喜びを感じる服がいい。いろいろなことに向き合って、丁寧に暮らしたいのだと思う。できているかどうかはさて置き。
●●が、会社でスーツ通勤しなければならなくなったからと、某ファストブランドで、特売の、買う前からすでに毛玉のできている黒のジャケットを買ったことがあった。500円。
それを気に入りの着古した黒のスウェットパンツと合わせて喜んでいた。ジャケットの下には、私の母が買ってくれたフォーマル用のシャツを着込んでいた。
上下の黒の濃度、なめらかなドレスシャツと妙にテカテカとしたジャケットの質がまるでチグハグだ。部屋でくつろいでいたところを、着の身着のままで外にでたというようにしか見えない。
私の母が買ったドレスシャツはこんなジャケットと合間見えるために生まれたのだろうか。
どれほど遠目から見れば黒のセットアップに見えるのだろうか。
子供の参観日にこれらを着ていったら周りはなんと思うだろう。
スーツは持っているし、500円とはいえど、ない金を出して買う理由はあったのか。
いろいろなことを思った。
翌週、特売ジャケットはクローゼットの中で、ハンガーからずり落ちたのか、はたまた掛けられもせず置かれたのか。毛玉が増え、シワができ、襟元がよれ、悪臭とともに床にくずおれていた。
そう言えば。
つきあいだした頃、二人でルームウェアを買いに、同じ店に行った。●●の部屋着は私には大きすぎたからだ。それは初めて彼の部屋に置いておく私物だった。やっぱり一度着たら毛玉にまみれたけれど、私には特別で、内側にまで毛玉ができる粗悪きわまりない代物でも愛用して、結婚してからも捨てられず、たまに着ては不快感に苛まれ、下着を調節するなど苦心していた。
これが●●と私の決定的な違いなんだ。
この特売ジャケットは、●●にとって、私で、子供だ。
短期的な充足感が過ぎれば投げやりに遺棄されて、ゴミにすらしてもらえない。
私は、向き合ってくれないのなら、せめてゴミとして扱ってほしいと願っていたんだ。
消費された私と子供の人生は500円で、見向きするようなものではないんだ。