山小屋に引っ越して3ヶ月ほど経ったある日、●●が興奮した様子で、聞いて!と飛びついてきた。
聞けば、会社でマネージャーになった人間が家庭を持っていたら、家を買ってもらえる制度ができたのだと言う。

よく考えなくとも、買った家の所持者は会社だ。それはつまり、ちょっと立派な社宅のようなものだ。

マネージャーになりました、家を買ってもらいました、辞めて家だけもらいます。そんな簡単な図式を、何百件も店舗を持つ会社が想定していないなんて考えられない。

会社から離れれば追い出されるだろう。もしトチ狂った会社で、何千万もする家をポイとプレゼントしたとして、高額になるだろう贈与税を払えるわけもない。
老後はどうなる?分かり切ったことだ。

要は若く無知なスタッフのやる気を刺激するためのからくり。30代の子持ちの男が乗っかる話ではない。

けれど彼は信じ続けている。