交際を始めて数ヶ月だったと思う。僕の二泊三日の海外出張を四泊五日に仕立て上げ、彼女との旅を楽しんだことがあった。駐在していたころからの馴染みの店を訪ねたり、彼女のリクエストに答えたり、楽しい新婚旅行のようでもあった。この国は彼女のルーツとも関係があったし僕の仕事とも深いつながりがあったから、二人を結びつけたきっかけになった場所とも言える。

 

僕たちは食事の趣味も見て回りたい店も一致していたし、古い建物や美しい自然を楽しみたい点でも一致していたから、一緒であればどこにいても楽しかった。僕が気に入っていた銀細工作家の店は彼女も気に入ったようだった。そこで二人で何かを買ったように記憶している。それからメガネを買った。視力に問題はなかったが半分お遊びの変装用メガネだ。それは多分、今でも彼女が持っている。

 

彼女は猫が好きで、それは僕も同じだった。いつのころからか彼女は猫を飼い出した。子どものころ、僕の家には猫がいた。そして今も猫がいる。お揃いのマグカップは猫のイラストだ。二匹の猫が仲良く寄り添うかわいいオブジェは今も僕のデスクを飾っている。僕は彼女を猫ちゃんと呼び彼女は僕の名前をもじったあだ名をつけていた。別れ話をした時彼女は、私は猫ちゃんではないしと言った。もちろんそうだ。

 

彼女は自分の世界を探し求めていた人だった。他人から見れば自分の世界をしっかりと生きているように見えたが、彼女はそれに満足できないようだった。いろんなことを語り合える相手、自分の世界を認めてくれる相手が必要だったのは彼女だけではなかった。だから二人は一緒にいるだけで楽しかった。

 

都内の一泊デートはいかにも秘め事のようだった。出張先のホテルに**が訪ねてくる。食事も済ませた時間、****のために切り取られた時間だ。禁断の恋、**、都内の古びたホテルの狭い部屋というシチュエーションもそうした**な世界を一層盛り立てていた。二度目の宿泊は海外。いきなり海外旅行という大胆な計画に僕たちは興奮したし、大いに楽しめたと思う。旅の計画から飛行機や宿の手配に二人は酔いしれた。

 

寒い季節だったと思う。街を歩いて疲れてはいたがホテルのキングサイズベッドの上で、時間の制約もなく僕たちは****した。彼女の体は美しかったし****は素晴らしかった。*で抱き合いながら彼女が言う。ねえ、これ今がチャンスだよ、今だからこそ正直に言ったほうがいいと思う。****の時どんなことしたい?何かしたいことある?今までのでいいの?本当はこんなことがしたいとか、あったら言って。

 

これは軽いピロートークではなく真面目な提案だったはずだが、たぶん僕は何の提案もしなかったように思う。今までのがいい、いつもみたいに*でしてもらうのが好き、そのまま*の中に***が好き、****もしたいけど****が好き、そんなことを言ったと思う。こんな感じ?と言って彼女はシーツを払いのけ、自分の**が見えるようにしてから僕が好きだと言ったことをしてくれた。

 

男の人ってどこが気持ちいいの?こんな風にされると感じる?そんなことを言いながら彼女は本気で**を研究した。その姿が愛おしくて、僕は彼女の体の向きを変えて互いを**しながら一番気持ちのいい方法を確かめ合った。

 

****が近づくと彼女は泣きそうになって震えた。真っ暗な中に放り出されそうだと言って怖がってしがみついた。今思えば、この旅行のころの彼女はまだ本当の****を知らなかったと言うべきだろう。心のこと、精神的なこと、神秘的なことに関心がある彼女は、****のあとで****の感覚を言葉で表現してくれたことがある。それは時を重ねるごとに深まっていったように思う。