僕は火曜日が休みだった。休みといっても家にいたことはなかった。そのころ、僕は朝起きると家を出て自分のオフィスに行った。やるべきことは必ずあったし曜日にかかわらず一日のスタートはいつも同じだった。彼女と出会ってから、火曜日の行き先はオフィスではなくなった。
地下鉄の駅近く、いつもの待ち合わせ場所に向かうと見慣れたシルバーグレーのステーションワゴンがとまっている。助手席には彼女が座っている。僕は自分の車のように乗り込み、おはようなどと言葉を交わしてから決まった方向へと車を進める。はじめのうちこそ、今日はどうする?という会話からスタートしたがいつしか車は自動操縦のように同じ場所に向かっていた。
こんなデートの場合、日常の行動範囲から離れるのが鉄則だろう。僕たちもそうした。二~三ヶ月はあちこちを訪ね歩いたが、お気にいりの場所が見つかってからはそこに通いつめた。**ホテルとしては時代遅れ、古びた部屋は若者に好まれる感じではなかった。それでもそこが気に入ったのは出前の食事が美味しかったのと、妙なアットホーム感だった。
車で近くまで来るといつもと同じコンビニに立ち寄る。それぞれ好みの飲み物やデザートを選ぶのも楽しかった。コンビニメニューでランチもいいし、ホテルで出前を取るのもよし。その日の気分であれこれ相談しながら半日過ごす準備をした。部屋ではよく映画を観た。自分たちでDVDを持ち込んだのは、二人がお気に入りのアメリカのテレビドラマWEST WING、「大統領」だった。
いつも11時前には部屋に着いていたと思う。買ってきたものを冷蔵庫にしまい、すぐにお昼にした時もあったし、シャワーもせずにベッドに向かった時もあった。彼女は敏感で抱き心地のいい女性だった。**やすいのが恥ずかしいといっていた。初めのうち僕は必ず***をつけたが、なにもつけないほうがいいからと彼女は**リングを入れた。けれどもどうも合わなかったらしく**に切り替えた。**のせいで太ったと気にしていたが、僕はいつでも彼女の中にそのまま**できるのが嬉しかった。
フリータイムが過ぎると急にお金がかかるようになる。夕方5時までに出なければならなっかと記憶している。いつも最後は慌てて着替えることになったが、彼女はたまにシャワーを浴びずに帰ることがあった。あなたの匂いを消したくないからといわれ、僕はすっかり彼女の虜になった。帰りはいつも決まった場所に車をとめた。僕が降りて歩いていくのをルームミラー越しに見送る彼女はいつの間にか運転席に滑り込んでいる。だいたいこれくらいのタイミングというところで僕が振り返ると彼女はちゃんとハンドルを手に、ミラー越しに僕に微笑んでから車を走らせた。