彼女とはいろんなところに行った。食べ物についてはまったく趣味が合っていたが、蕎麦よりうどんというところは大事なポイントだった。僕は、蕎麦自体は好きでも蕎麦好きたちの妙に気取ったところ、蕎麦にまつわる文化が性に合わなかった。都内の美味しいうどん屋を食べ歩くうちに、お気に入りの店が出来てきた。はなまるうどんのようなところもお気に入りの一つだった。
僕の松山出張が決まった時、すぐにうどんツアーの計画が浮かび実行した。同じ飛行機で松山に飛んでホテルにチェックイン。僕は仕事、彼女は街を歩きながら時間をつぶしていた。夜、仕事が終わって部屋で合流、翌日は午前中で仕事を終えたあと駅で合流し高松に向かった。駅のコインロッカーに荷物を預けてレンタサイクルで街に飛び出した。
調べておいた店を何軒くらいまわっただろうか。一杯2~300円でこんなに美味しいうどんが食べられるんだと感動しながら、次々と味の違いを楽しんでいった。行き先が四国とわかった時から仕事の中身はすっかりどうでもよくなっていた。飛行機を使わずフェリーで行くとか、いろんなアイディアもあったのだが結局飛行機が一番効率が良かった。
横浜にある高級ホテルの宿泊券を手に入れた時、中華街を散歩しながら見つけたアンティークショップでコーヒーミルを買った。僕も彼女もコーヒー好きだったが、オフィスで使うために素敵なミルを見つけた。違う店だったかもしれないが、お揃いの印鑑、二人のイニシャルのを記念に買った。木でできていて猫のデザインだった。
高層のランドマークタワーではなく、老舗のニューグランドでもなく、ホテルのクオリティーでは横浜ベイホテル東急が一番だと、その時以来考えている。楽しい思い出がそうさせているのかもしれないが。グレードの高い部屋からは海も観覧車もよく見えた。彼女はすぐにテラスに出てはしゃいでいたが、僕は高いところが苦手だ。夜、夜景を見ながら窓際で****をした。
多分彼女と出会ってそれほど時間が経っていない頃、実はベイホテル東急に泊まる前に二人でランドマークに泊まったこともあった。もちろんここは僕にとっては二度目だった。高層階からの眺めに彼女は特別な何かを感じていた。大きなベッドはそのままにして、すべてのカーテンを開け放って窓際で過ごした。そこにはギリギリで体を横にできるようなスペースがある。高いところが苦手の僕はそこに寝転ぶことなど不可能だったが、彼女は気に入っていたらしい。明け方、気がつくと彼女は再び窓辺にいた。ベッドで****をしたあと僕はそのまま眠ってしまったが、彼女は窓辺で世を明かしたのかもしれない。