ごんざは副詞のみだし語に名詞の訳語をかくことがある。
「ロシア語」(ラテン文字転写) 「村山七郎訳」 『ごんざ訳』
「подобнО」(podobno) 「似て」 『にたこと』
「нераздЕлнО」(nerazdelno) 「分けずに」 『わけんこと』
1「памятнО」(pamyatno) 「記憶して」 『わすいぇんこと』
2「паметованiе」(pametovanie) 「覚えていること」『おぼいぇちょること』
鹿児島県立図書館の原稿コピーをみたら、ごんざははじめに1に(обоечоръкотъ)(oboechor'kot')(おぼいぇちょること)(おぼえていること)とかいたのをけして(васъенкотъ)(was'enkot')『わすいぇんこと』(わすれないこと)にかきかえていた。
副詞に名詞の訳語をかくやり方で(おぼいぇちょること)という訳語をかいたら、つぎの行におなじ語根をもつ名詞がでてきた。同根の副詞と名詞におなじ訳語をかくわけにはいかない。
ごんざはかんがえて『おぼいぇちょること』(おぼえていること)を名詞の方につかうことにきめて、副詞の方をおなじような意味の『わすいぇんこと』(わすれないこと)にかきかえたんだろう。