「夕陽妄語」の1986年に収録されている「世論調査の天皇制」というのがある。

もちろん、今から30年前、つまり世は昭和の時代であって、天皇制に関する国民の意識も今とは異なる。

世論調査は、次の3点に集約されている。

①天皇制は国民に支持されているか。

②天皇個人に関して、親しみを感じるか否か。

③天皇の戦争責任の有無。

 

①に関しては80%以上の支持を示している。

②20代では70%が無関心である。

③有る、無い が其々25%で、どちらともいえない が42%である。

 

2016年の調査ということになれば、先日の 生前退位 の問題を避けては通れない。

 

天皇の継承に関する規定をあげてみる。

憲法

第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

 

皇室典範

第1条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。

第2条 皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。

第4条 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する

 

先日の天皇のビデオメッセージは、あまねく政治的発言と誤解されないよう十分に配慮の上で、82歳という年齢と、象徴天皇という役割を総合すると、どうしても有る程度の年齢になったら天皇という立場を、若い承継者に譲った方がいい、という趣旨であった。

 

もちろん、これは 生前退位を求めたものでなく天皇という立場の譲位だとか、このような発言自体が政治的発言だ、という考えも散見されるが、事の本質を見ていない。

 

天皇や皇位については、そもそも憲法の例外を憲法自体が認めたものである。

そのため、皇室典範には、皇統男子の承継を規定する。

しかし、継承自体については、『崩じたとき』と規定する。

つまり、天皇の死亡が唯一の継承なのだ。

 

皇室典範の第4条が、承継を制限したものであれば、崩御以外の承継は認められないだろうが、制限した意味では無くあくまでも通常の状態を規定したものであれば、制限されることはない。

 

また、憲法制定時、または、皇室典範の改正時、今のような高齢化が進むとは思ってもいなかっただろう。

さらに、象徴天皇という天皇制が、今の天皇のように幅広く国民の間に入り込んでいくということも想像していなかったであろう。

 

生前退位を認める方向で議論は進んで行くようだが、皇室典範の改正でいくのか、特別法の制定でいくのか議論があるようだ。

しかし、皇室典範は、憲法のもとにある法体系の中では、法律と同一の扱いであって特別な法律では無い。

しかも、特別法は一般法よりも優位である、という原則に戻れば、典範の改正でも良い。