珊瑚のこと。

この写真は東京や名古屋で春~夏に開催された『宝石地球が生み出すキセキ展』の様子です。

 

 

さてさて・・・

この方から

珊瑚のペンダントトップのリフォームをご依頼を頂きました。

 

 

The 昭和! (笑)

レトロなペンダントトップです。

カニのハサミのような爪は、昭和の30年~40年代あたりに流行った形でしょうか?

ちょっとかわいい。

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可愛らしい朱色に近い濃い目のサーモンピンク色の珊瑚ですね。

枠を外すとけっこう大振りのルースです。

さすがに枠は古くなってますね。

 

(ルースというのはきれいにカッティングや研磨された宝石のことで

まだジュエリーに加工されていない裸石のことです。)

 

 

この珊瑚は裏側も丸くなっていて、飴ちゃんみたいでかわいいカットです。

こういう形のカットを『ダブルカボッション』と言います。

 

こちらが裏側。↓

 

上記写真の裏側に見られる白い部分、

この部分は『フ』と呼ばれる部分ではないかと思われます。

『フ』というのは人に例えると骨の部分だそう。

これ、日本の赤珊瑚の特徴です。

 

地中海のベニサンゴにはありません。

 

??日本の赤珊瑚?地中海のベニサンゴ?…なんのこっちゃ??(笑)

 

では、珊瑚のうんちくを少々・・・(笑)

 
宝石になる珊瑚は、太陽の光が届きにくい深海でゆっくり成長します。
浅い海域で、熱帯魚の隠れ家になるテーブル珊瑚のように
私たちの目を楽しませてくれる珊瑚は宝石には向きません。
 
ヨーロッパではずいぶん昔から珊瑚をジュエリーとして使っていました。
イギリスのエリザベス女王もお誕生の際に珊瑚のネックレスをプレゼントされたと聞いています。
お守りですよね。
 
日本では
19世紀に、土佐沖で『赤珊瑚』と呼ばれているその名の通り真っ赤な珊瑚が生息していることが分かりました。
高知県土佐沖は、今では世界でも希少な良質の珊瑚がとれる海域となりました。
特に良質の真っ赤な珊瑚は『血赤珊瑚』とも呼ばれています。(血のように赤い珊瑚です)
とても希少価値があって、大変珍しい珊瑚です。
 
淡いピンクの桃色珊瑚も日本の沿岸や西太平洋に広く分布しています。
日本の沿岸の珊瑚たちは幹が太く質の良い珊瑚だそうです。
 
彫刻作品になるような珊瑚や大きなルースはこういった日本の沿岸で育ったものだと思われます。
 
日本人は昔から珊瑚を大切に育ててきました。
昔話の宝物の絵の中にも枝の大きな珊瑚が描かれています。
 
珊瑚は真珠や水晶・瑠璃・翡翠・瑪瑙と並ぶ大切な日本古来からの宝物です。
 
珊瑚の成長には何百年もかかります。
400年~500年かかるとも言われています。
だからこそ、日本人は自然に敬意を払い無謀な乱獲はせず少しずつ採取し大切にしてきました。
海流にあおられて折れた珊瑚や、枝が大きく成長した部分を剪定するかのようにカットして採取していました。
根こそぎ取るようなことはしていません。
大切に大切に育てながら採取してきました。

 

ヨーロッパでは古くから珊瑚がジュエリーや装飾品に使われてきました。

地中海にも美しい珊瑚が生息しています。

ベニサンゴや深海珊瑚です。
ヨーロッパでも貴重な宝石として大切にされてきたのです。
 
ベニサンゴは赤珊瑚と同じような赤い色ですが、材質としてはもろいというか柔らかいようです。
そして細身で小ぶりだそうです。
浅いところに生息しているので、海綿などの被害もあるようです。

しかしながらとても美しい色です。

 
深海珊瑚はピンクと白のマーブルになっていて
とてもかわいらしいです。
(私はどちらも好きですね。)
 
さて、お預かりした珊瑚(上記の写真)には『フ』があります。
先ほど説明しました『フ』は日本の赤珊瑚の特徴です。
高知県の海、土佐沖で取れた貴重な赤珊瑚です。

 

この方のお母様はとても大切にされていたのだと思います。
 
 
 

余談ですが、

この秋、沖縄に行ったとき、

珊瑚のお店が沢山ありました。

そりゃ桃色珊瑚の本場ですもんね。

沖縄の美しい海の珊瑚をいつまでも守らないといけませんよね。

 

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今回のリフォームは、
今年の私の挑戦でもあったデジタル画でデザインを描いて
3Ⅾプリンターで原型を作ろうと考えています。
これは、今のジュエリーデザインでは当たり前の作業なんですが、
アナログアラカンの私にはこれをやらないと
死んでも死にきれん!!というくらいの大きなチャレンジなんです(笑)
 
だから、仕上がっていく様子をブログの中に備忘録も兼ねてぼちぼちと書き留めようと思います。