だけど僕は

夏を祈る

だけど僕は

夏を祈ってしまう


それは君を祈ることで

たぶんそれは

僕の痛みを祈ることで


始まれもしなかった物語の後日談で

笑い合うみたいな茶番を並べて

憎しみ合うことも出来なかった

ボクラという

架空の二人称複数を想う


だけど僕は

夏を祈る

だから僕は

夏を祈る


始まらない夏休みの前の入道雲のように

終われない思春期のミイラのように

欠落したナニカを供養する

存在もしない儀式を継承する

魔法使いの末裔なのだろうか


え?

誰に

一体誰に?


そっか!

夏に

夏に問い掛けていたのか!


だけど僕は

夏を祈る

新しい初恋の

もっと残酷な終焉を

それでも願うように