真夜中に隠したのは

なんだっけ?


僕らの秘密

あの頃に戻れるトンネル

存在さえしなかった

あの子とのキス


それから それから…


物語になりそびれた僕らは

ときたま真夜中に迷い出て


ただ抱き合うまでの遠い回り道を

探しあぐね


そして疲れ果て

何を探していたのかさえ忘れてしまうよね


ただ世界が寝静まったこの暗闇の

非日常という陶酔に浸っているだけなんだ


ううん


真夜中に隠したのは

僕の大切な一部分さ

君の大事な一欠片かもだよ


知っているのにわからない

感じてはいるのに見えはしない


あの

歯痒い


しあわせの一部


何か足りないって

感じてしまう


そう


アレなんだ



だけど


そして真夜中に生まれるのはいつも

次の新しいナニカなんだね


あの頃よりもずっと素敵な鼓動の震源さ


さっ

少し眠りなよ

そいつを見つけるのは

思い出すことと同じはずだから


忘れてしまう明け方の夢に

いつも見ているあの感触だから


優しく目覚めた時に

一瞬だけ感じるヤツだからね


忘れてもいいけど

感じていなきゃダメなヤツだよ


わかるね


またいつか

いつもの真夜中で逢おうよ


そうか

僕らは

いつも会っているのかもね

だって初めて会うはずの君は

たぶん懐かしい匂いが

きっと

するんだろうからさ


ところで

真夜中に隠したのは

なんだっけ?


気になってまだ

眠れないんだよ