しあわせなんて嫌いさ

だって怖いんだよ


しあわせ未満のぬるま湯で

ふやけた夢のヌードルみたいに

しあわせ未満のくちびるが

求めてしまう赫い粘膜があって


しあわせなんて嫌いさ

ほんと怖いんだって


わかりたくないから

失いたくなくなるよ

泣けなくなったら

僕じゃなくなるよ


 耳たぶ以上

 頬っぺた未満

 禁断の向こうに

 陳腐な三文芝居が見える


最後の台詞を

必ず忘れるから

何も覚えないで

自分を演じてみるしかなくなる



しあわせなんて嫌いさ

だって怖いじゃないか


そんなものないと

誰か教えてよ


 くちびる以上

 僕ら未満

 ため息の向こうに


 僕は見えない


 僕らは見えない