今日のラストシーンの
少し甘いワインに浮かぶ
気配としての髪の毛と
なびいた後に揺れる様と

見つめるほどの強さもなく
噛み殺されていく今夜の夢の
朱色に染まった光の投影が
カウンターの上に写した
記憶としての
あまりにも儚い
薫りさえ知らぬ物語よ

今日のラストシーンに
見つめた影は

ワイングラスに残る
血のようなルージュの余韻

きっとあれは
きっとあれは


ほろ酔いに聞こえていたのは
死刑台のエレベーターのマイルスだろ?
やっぱやばいよ
あれは

今日のラストシーンに
残酷に似合っていやがった