真夜中と春と月

役者が揃った午前二時の微かな秒針
無垢な狂気が芽吹きはじめるのに
野暮な太陽は邪魔でしかないんだね

不埒な夜と聖者の朝の間に
僕らはいつも
ふしぎな物語ばかりを探してしまうけれど
見つかる訳はないのさ
そこにはいないのだから

ありえない君を想って
おとぎ話の体温に頬ずりしながら

ピアニシモで忍び寄る朝が
陳腐な笑い話に変えてしまう前に

嫌悪と純白
作為と空白
気配と純潔
遺恨と潔癖

投げやりな深層が
やはり導いてしまうのは
不発のまま眠り続ける
1mgぐらい残った
あの真実の脈動だろうか