一人称を「僕」に決めた時 
心は少し薄着になった 
「君」がまるでそこにいるみたいに 
キーボードを愛撫する 
そんな秘かな楽しみが 
いつか僕の一部になってしまった  

成就しない恋の数だけ
伏し目がちになった男の後ろ姿を 
世界は無関心という優しさで
見過ごしてくれていた 

夢想の中でしか歌えない歌作りが 
無様を晒すという最上級の卑怯で
まだ踊っている 

僕はまだ君という体温を知らない
僕はまだ君という体温を知りたい
僕はまだ君という体温を知らない
 
僕はたぶん君という体温を知り得ない