ウッディーな片想い

書き取れないこころを 
書き留めてみたい 
見えないモノ達を 
スケッチするみたいに 

寂しいのに 
少し幸せな 
そんな風景は何色で描いたらいいのだろう 
善でも悪でもない無為の 
奈落を前にした奇妙な平穏のような  

すれ違った 
すれ違ってしまった些細な優しさにさえ 
荒唐無稽な妄想を重ねられる僕だから 
どうか触れないで欲しいんだ  
微かな残り香と 
微笑みだったような柔らかな頬の曲線だけで 
それだけで今はいい  
君が欲しいが言えない弱さが 
また新しい楽器を欲しがる指先に
逃げ惑ってしまうんだよ 
今度はウッドベースに片想いなのかな 

愛しているより嘘の少ない 
上ずった愛撫のようなヴィブラートで 
君に寄り添って踊りたいんだ 
優し過ぎるから届かないんじゃない 
届き過ぎるんだよね   

言い尽くしても伝わらないから 
喉元に詰まった言い残しを 
また心に戻してしまおう 

余韻の中にしか僕らは存在し得ないのだから