太宰の短編にそんな題名のがある。出会いは中学の頃だっただろうか。
メロスより富岳より斜陽より、もちろん人間失格より、小さくて優しく
心に残っていた。
青空文庫で探して、ほんの数分のタイムとラベルを楽しむ。
横書きのテクストは少し感触を変えてしまっているけれど
僕の感触は、驚いたことに進化を遂げていて、不覚の目に浮かべてしまう
透明を恥じながら現世に逃げて戻った。
あんな破天荒な人間の屑の中にある小さな純情。
嫉妬ももちろんある。
でもいつか、あんな小さな宝石を書きたいし書けるような気もしている。

君をまだ近くに感じてしまうからね。