最後の月 
見えない君のつぶやき 
出来過ぎな深度の進行する季節  

秋は一種の鎮痛剤なのかもしれない 

予感や夢やトキメキを 
振り回さなくても 
密やかな幸せには辿り着ける 
この緩やかな下降線を恐れる人は 
もういない  

願うのはただ 
枯れ際の美学 
息が凍ってしまう前に 
透明なため息に辿り着けたらいい 

月は息を潜めて 
僕は新月に呼吸を終える予感だけを連れて歩く 
届けるはずの想いを 
静かに闇夜に逃してしまおう