友達に女性の才能ある野心家がいる。 友達というニュアンスは少し違うんだが、まあその話しは、今回は置いておくにして...。彼女は上昇志向が非常に強いのだが、最近、そっちの業界の比較的大物の方と知り合いになったそうだ。で、彼女が言うには、向こうの業界の人や世界は、僕らの住む日常とは絶対的な隔たりがあると。どうしても超えられない溝なのか壁なのか。比較的狭い世界でことが進み、一般ピープルがどんなに望んでも、その世界に潜り込むのはかなり難しいと。出すオーラも才能も、馴れ合い度合いも執着も、すべてが違うんだと。どうにかして潜り込みたいと彼女は熱っぽく語って、ふと僕をまじまじと眺めた。アナタは、ゴンちゃんは、向こうもコッチも関係ない人なのよね。やっぱり宇宙人なのねと笑う。アワヨクバの願望は、今ではかなりしおらしくなっている。コッチでもアッチでも、付きまとう場違い感は変わらないだろうなとはなんとなく感じる。先日パフォーマンスをやった渋谷のバーは、混じりあわない向こうとコッチの接点なんだろうなとも感じる。でもね。向こうでもコッチでも、抱き合っても孤独でも、手に入る幸福の絶対量は変わらないような気がするんだよね。そして、多分それは50%なんだろうということも同じかなとも、うん。
 何かを創り出したいという思い上がった衝動があって、誰かに伝わるだろうかと強気と弱気が入り交じって。もし意味があるなら、残るだろうって。人ごとのように心が振動で僕に伝えていて。生きているうちか否かなんて、少ししか変わらないし。消えていくのも、忘れ去られるのも、また、美しい絶望の一部なんだろうと。
 君は何を伝えたいんだい?即答できなきゃ、ないも同然なんだぜ。僕はこう答えるよ。

 「ただ、愛してほしい ただ、抱きしめてほしい」ってね。