#今村昌平監督作品  #エロ事師たち | Gon のあれこれ

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読後感、好きな太極拳、映画や展覧会の鑑賞、それに政治、ジャーナリズムについて、思いついた時に綴ります。

ぼくはオチンチンの小説を書きたいと考えて、「エロ事師たち」を書いた。

これは決して男根魔羅玉茎の事ではなく、はかなくあわれなオチンチン小説であり、スブやんはそれを本来の姿にもどすべく努力するドン・キホーテといえよう。

と野坂昭如が後書きに書いた「エロ事師たち」の映画化。

 

エロ事師スブやん(小沢昭一)はブルーフィルムの製作・販売や白黒ショー、売春宿の女将(ミヤコ蝶々)と結託して男(二代目中村鴈治郎)に”処女”を斡旋したり、乱交パーティを主催したり、、、と男のエロの願望を満たす仕事が生業である。

 

私生活では理容室の未亡人(坂本スミ子)の二階に下宿。

どちらから誘惑したか微妙な雰囲気の中 関係を持ち、受験生の長男(近藤正臣)

長女の親代わりに収まる。

 

 

生業は非合法であるから、「順調」とはいかない。

警察のお世話になって臭い飯を食ったり、ヤクザに絡まれてフイルムを強奪されたり

あげくはエロ事師仲間にフイルムをコピーする機械を持ち逃がされたりする。

 

男に女を斡旋しても大したカネにならないが、

「ワイは男の哀れに惚れたんや、

哀れな男や、どいつもこいつも、、、」

 

女は何でも他人のせいにするくせに

ほんまは助平で嘘つきで欲張りで、、」

と女嫌いの仕事仲間に言われて

 

「男がそんな女を愛しおるんでしゃあない。

「男と女の仲はなぁ

ふあふわごちゃごちゃしとって

はっきりしたもんはひとつもあらへん」

 

未亡人が入院している時、長女恵子と、いざ、と言う時に突如空から腎虚?インポ?)

になって、哀れが増すが、当初抵抗感があったゴチャゴチャ(乱交パーティ)を主宰、

地獄極楽、どこまでも、エロと離れんうちが人生花やで」と独り言つ。

 

最後は川べりに係留した屋形船でダッチワイフ制作に精を出し

どんぶらこどんぶらこと一人ダッチワイフと外洋に出ていくが

この映画はカラッとした哄笑のエロではない

 

ブルーフィルムの客や「処女斡旋」の客もみな真面目な堅気の男たちである。

その客たちのエロに奉仕するスブやんも真面目な人間だ。

それだけ一層哀れを催す。

そこに監督今村昌平のエロへの視点があるのだろう。

 

理容院も含めて川べりの家を川の方から撮ったシーンが多い。

そこに独特の情緒があり、ある種「のぞき」に似た視線を見るものに与える。

 

元々が関西人の坂本スミ子や近藤正臣はもちろんだが

主役の小沢昭一の関西弁もこなれている、と道産子の私が思った。

1966年のキネマ旬で主演男優賞受賞、

封切り当時

今村昌平(1926-2006)40歳

小沢昭一(1927-2012)37歳

坂本スミ子(1936-)30歳

(恐らくは初婚相手と別居中の撮影)

野坂昭如(1930-2013)36歳

 

後記:コロナ禍による外出自粛によって、見たい映画、

 

(なお三島は野坂のこの小説を激賞した)

 

や都立美術館の「ボストン美術館展」も流れてしまった。

自宅や近くの珈琲店などで読書するか、アマゾンのPrimeVideoや

宅配レンタルで映画を見るのが当面の気分転換になっている。