『安倍晋三の本性」魚住昭 他 | Gon のあれこれ

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読後感、好きな太極拳、映画や展覧会の鑑賞、それに政治、ジャーナリズムについて、思いついた時に綴ります。

発行元は「金曜日」
本田勝一、椎名誠、佐高信などが編集委員を務める。亡くなった筑紫哲也氏も委員であった。

この顔触れは、私的には「サヨク」と言い難いが、安倍晋三の二次元の座標軸からすると「サヨク」になるのだろう。

安倍晋三の本性/金曜日

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私は、自由と平等、それにシンパシーの価値に重きを置く 『デモクラット』で

暴力は必要悪として、消極的に肯定し、
報復は時に秩序を維持するために必要だと思うが、
子供のころ、母親と教会に「人もし汝の右の頬を打たば、、」(マタイ伝5章)
と刷り込まれたので、内心ではかく言う自分に罪の意識を感じる。

また、「エロティシズム」は人生を実り豊かにするもの、として積極的に肯定し、
娼婦と交流した荷風や70余を超えて17歳の女性に求愛したゲーテの「逸脱」を好ましい、と思う。

このような俗物である私にとって、
総理の職を、「民主党の代表が話し合いに応じてくれない」と自分の無能を相手の所為にして急きょ辞任。その追求を逃れるために入院し、後日それが腸の病気であった、とすり替え、先の自民党総裁選には、新薬が出たので病の心配はない、と厚かましく言い、やり残した事がある、と立候補を正当化する安倍晋三は、責任感も洞察力も覚悟もなく、知性のかけらすら感じさせない、誠に総理の職に相応しくない人物の筆頭である。

更に付け加えれば、このように甘ったれで「繭」に包まれている自己中心的な性格は、危機の時に「逃亡」するのであればまだしも、自暴自棄になって「暴発」する危険がもっと怖い。

この経緯に対する一言の批判もなく、また「新薬」の副作用や、薬の併用の問題点などを明らかにすることなく、安倍を祭り上げる報道姿勢にも改めて幻滅する。

大体、「美しい日本」などと無内容な事を平気で口にする人間はもともと嫌いで、
レヴィナスの師シャシャーニの
「美しい答えなどなにものでもないのが、いったいいつになったらわかるのか。
わからんのか、まやかし以外のなにものでもないんだぞ。」
(レヴィナスと愛の現象学 内田樹 68P)
に深く同感する。

今、中国、韓国との領土問題で「ナショナリズム」が盛り上がっている。その盛り上がりのレベルは、先に安倍が総理に就任した時以上である。

この本の最後、佐高との対談で魚住昭は、
「愛国者になる事で癒される部分があるんです。父母に心からの感謝をする。さらに進んで祖先を敬う。その先に天皇がいる。自分に連なるすべての人たちを敬うことで、自分自身が癒される。自分自身の全面的肯定。そこに吸い寄せられる人たちもすごくいる。これが右派的考え方が持つ吸引力です。その力をあなどってはいけない。安倍政権に小泉政権以上の怖さがあるとすれば、その吸引力ではないか」と語っている。
深く賛同する。

なお同書には安倍晋三のブレーンやその問題、やり残した、と言っている「教育法」の問題点、利益誘導型政治家としての体質などが語られている。