中村天風と植芝盛平   藤平光一   ① | Gon のあれこれ

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読後感、好きな太極拳、映画や展覧会の鑑賞、それに政治、ジャーナリズムについて、思いついた時に綴ります。

藤平は、天風と盛平に教えを受けた稀な人物である。




この本の凄いところは、信者の多い二人の実像を外連味なく晒したことにあるだろう。




先ず合気道の祖である盛平の武勇伝について




「私が知る限りこうした話はほとんどでたらめである。、、、


そうした噂が尽きないのは、先生を利用し、我が身を大きく見せようという者たちの思惑があるからなのだろう。」




一方、今でも経営書コーナーにも本が並ぶ天風については




「先生が教えられた行法に、クンバハカという呼吸法がある。これは尻の穴を締め下腹に力を入れて肩を落とせというもので、今でも多くの弟子が実践している。、、この形ばかりが伝えられた行法は天風先生の教えの本質から言えば、全くの嘘なのである、、、、私は天風先生の言ったことは一通りすべてをやってみた。


ところが、実際に役に立ったものはわずかしかなかった。」




いまここに引用した言葉を伝えるだけでも、この本を世に送り出した価値はある、と思う。




著者は、




盛平には「リラックス」ということを、




天風には「心が身体を動かす」ということを、




二人から教わった最大の遺産として挙げている。