この記事は
の続きです。
友人の何気ない問いかけ
「悩みなんて友達に相談すればいいのに、わざわざカウンセラーにお金払って聞いてもらう意味がどこにあるの?」
に明確に答えられず、
自らが目指すものの存在意義を説明出来なくなった私でしたが、
ちょうどその頃、学校の授業の宿題として、「講師のカウンセラーのカウンセリングを受けて来る」というのがありました。
予約は既にしてありましたが、
「さて、何を相談しようかな?特に今は悩み事ないしな。」 なんて思っていました。
すると事件は起きたのです。
その日、メールで友達をランチに誘ったところ、「最近忙しいから。」
と断りの返事でした。
そうか、忙しいのか。
なら仕方ないな。
諦めようとした私でしたが、
なんだかふと、胸をよぎるものがありました。
それは、いつもと何か違うという感覚。
その友達とは、18歳の時に大学のサークル活動で出会いました。
在学中も卒業後も、ずっと仲良く、一緒に旅行をしたり、互いの家を行き来したりした仲です。
その頃は、2〜3ヶ月に一度、互いに誘い合ってランチをしていました。
これまでも「今忙しい」ということはありましたが、その時は、
「今は忙しいけと、来月なら大丈夫」
とか、そういう返事だったのです。
けれどその日は「いつなら大丈夫」はなかった。
本当にただ、今は予定が立たないだけかも。
そう思いながらも、何か違和感が拭えず、思い切って再びメールを送りました。
「私の思い過ごしならばいのだけど。もしかして何か腹を立てていたりする?」
と。
正直、心当たりはまるでありませんでした。
だから、半分以上の確率で、
「え?なんのこと?何でもないよ。」
と返事が来ることを期待しながら。
すると、間もなくやって来た返信は、私にとって非常にショッキングなものでした。
少し補足をしないと、読者の皆さんには分からないと思いますが、まずは彼女から来た返信の主旨を記します。
「あなたは私の忠告にちっとも従おうとしない。私はあなたが少しでも楽になればと一生懸命忠告していたのに。
そしてあなたの状況は良くなるどころか、会うごとにどんどん悪くなっているように見える。私はもう疲れました。」
彼女からの返信の書き出しはこのようなものでした。
ここに書かれている「あなた」とは私のことです。
この時点でまず私はビックリ仰天しました。
正直に書きますが、
「忠告って一体全体なんのこと?」
とまず思いました。
わけが分からないという驚きと混乱の中で、先に読み進めると、少しずつ事態が理解出来て来ました。
実はこの数年前から、私は産休を3回取ったという理由で、当時勤めていた会社の社長からかなり不利益な待遇を受けていました。
減給や配置転換など、常識的に考えればかなり理不尽とも思えるものでしたが、当時の私は働くこと=会社に居続けること、と思いこんでいて、会社を辞めることはまるで考えていませんでした。
私にとって、働くことはとても重要なことでした。
だから実のところ、彼女に「相談」していたつもりは全くなかったのです、私には。
これは私の人生の問題で、私が答えを出すことで、誰かに相談して忠告をもらうようなことではないと思っていました。
ではなぜ彼女に会社での出来事を話したのか?
それは・・・
聞かれたからです。
会うたびに、開口一番「最近会社はどう?」と。
聞かれたからその時の状況を話す。
私としてはただ淡々と話していたつもりです。相談しているつもりなど毛頭なく。
だから彼女に何も求めていないつもりだった。
でも彼女は、違ったのですね。
私の話を、多分我がことのように心を痛めながら聞いてくれていた。
うんうん、と聞き上手だったと思います。
そのことに気づかなかった私が確かにいました。
そこまで気づいてから、更に考えました。
さて、彼女の「忠告」とはいったいなんだったろうか?
しばらくして、はたと思い出しました。彼女がよく口にしていた言葉を。
それは、
「会社なんか辞めちゃいなよ。」
「そんな辛い思いしてまで働くことないじゃない。」
「子供が小さいうちは子育てに専念するのがいいよ。」
「秋の夕日を見ながら子供と手を繋いで、公園の落ち葉を踏んで歩くのって幸せだよ。」
・・・
彼女の言ってる「忠告」って多分これだったんだ。
そう確信したのです。
間違いない。
だって彼女はそうやって生きてきた人だから。
妊娠と同時に会社を退職して専業主婦になった。
だからそれが彼女にとっての正しい道。
でも私は違う生き方を選んでいた。
私にとって大切だったのは、子育てと仕事とどちらも諦めないこと。
だから、彼女の言葉を聞いていたけれど、まさかそれが自分への「忠告」だとは気づかなかった。
私に足りなかったのは、想像力。
彼女がどんな気持ちで、私に「最近会社どう?」と毎回尋ねていたのか?
彼女が私の大変さに想いを寄せるあまり、彼女の生き方を私にも採用させようと勧めていることにまるで思い及ばなかった。
衝撃でした。
長いので、次に続きます。