何をする予定なのか、結論から書く。


8月5日から1週間程度の予定で採卵したい。産卵し、無事孵化すれば、お盆の頃は若齢幼虫。その後は台風も来るだろうが、徐々に涼しくなり、余程のことがない限り、正常に育つ。9月に一部第三化が出るだろうが、大半は休眠する。春型から得た卵によって夏型を゙作り、夏型が産んだ卵を゙育てて春型を゙得る。それで累代飼育は成功。


今度は限界まで産卵させるような無茶はしない。手元に残した蛹から羽化した成虫のうち、最も美しいと思われるものを、早く蛹になったグループ、遅く蛹になったグループのそれぞれから2ペア選び、合計4ペアで産卵させる。各グループの産卵数が50卵に達し、受精卵であることが確認できた日に終了。但し、合計産卵数はきっちり50ずつにはならないはず。


なお、前の記事で、「中間的」と言うグループを作ると書いたが、これを作ると管理が繁雑になるため、やめた。手元に残した蛹は6月16日〜20日に蛹化した早期蛹化のものと、6月25日以降に蛹化したもの、各約40個。



産卵開始の前日、8月4日に交尾させるが、雄の成熟に通常5日程度かかることから、雄の羽化は7月末日頃にしたい。冷温庫から出して3日程度で羽化すると考えれば、蛹を冷温庫から出すのは7月28日。


但し、以上の作戦は安全策であり、4齢幼虫以降はお盆過ぎにしたいということと、羽化後できるだけ雄が元気なうちに交尾させたいということから逆算したものである。


「お盆付近で終齢幼虫になるのでも何とかなるのでは」と考えれば、8月1日から産卵でも良いし、雄の寿命が2週間程度あり、雌の寿命は1ヶ月あるということを踏まえれば、7月20日、ないしはもう少し早い時期に羽化が始まったとしても、8月1日から採卵スタートは可能である。恐らくその方が自然条件でのサイクルに近い。

7月20日羽化だとすると、そもそも7月5日頃に蛹化した蛹については、冷却自体必要ないことになる。少なくとも、低温処理を゙もっとマイルドなもの、例えば15℃にすることは可能だろう。そういうやり方でも累代飼育はできるかも知れない。


この点の検証も魅力的なテーマではあるが、本年中に両方の検証を゙行うのは少し荷が重い。冷温庫は1つしかないため、2通りの温度設定は無理という事情もある。今年は蛹を゙10℃程度に冷却することで羽化を遅らせる方法で魔の季節である7月を回避する方法の有効性を゙調べる。それができたら、来年は、成虫の寿命の長さを利用して累代飼育が可能かどうかも゙、検証するかも知れない。

とは言え、本命は今年の方法だと思う。後で触れる問題点さえクリアーできるなら、本年の方法の方が産卵時期の自由度が大きい。


有効積算温度の式で求めた冷却期間や蛹の期間は、いずれも上限と見るべきである。

この計算結果のポイントは、蛹が硬化した後に冷温庫に入れておくと、34〜40日で羽化徴候が現れると言うことだ。遅く蛹化したグループの平均蛹化日を6月28日とすると、8月1日から8月7日に羽化兆候が現れる。7月28日に冷温庫から出す時点ではまだ羽化兆候が現れておらず、十分な余裕がある。

しかし、早く蛹化したグループは少し微妙。平均6月18日の蛹化なら、羽化兆候が現れるのは7月22日から28日の間になる。羽化兆候が現れたら冷温庫から出すから、7月28日よりも前に羽化する個体も多いだろう。ただそれは雄の成熟期間を長く取るだけなので、多分問題はない。早く羽化した雌はちょっと厄介だが。何にしても産卵は8月に入ってからにする。


1つ問題がある。


去年の結果から考えても、7月末頃に外見的に正常な個体が羽化するだろう。しかし、蛹期間の途中を゙低温にすると言う人為的な処理を行った個体が、十分な生殖能力を゙もつだろうか?雄は交尾器を゙大きく広げて交尾し、雌は十分産卵してくれるだろうか?


昨年は、うまく交尾させられなかった。しかし、それは成虫になってからも冷却したからであり、今年は成虫になってからの冷却は行わない。成虫は20℃程度の快適な温度条件で保存する。去年とは成虫の条件が異なる。無事立派な生殖能力を゙備えた個体ができる可能性が高い。


でも、あいつ等、蛹化前の幼虫の体をまん中で縛ると、前半は蛹、後半は幼虫とか普通になる生き物なんだぜ。我々のように全身の機能が一括管理されていない。中央集権型でなく、地方分権型と言えば聞こえは良いが、要はバラバラ。格好はきちんとしていても生殖能力はないなんて、朝飯前だ。安心はできないな。


バラバラであることは認める。だからこそ、途中で一部の器官の形成が遅れても。最後に辻褄を゙合わせられる。蛹になった直後と成虫になる直前に常温にするなら、間の低温は全く問題はない。正常な個体が得られると思うな。


生殖能力はあるのか?ないのか?

さあ、どっちだ?