幼虫の飼育もそろそろ終盤、現在続々と前蛹、蛹ができている。幼虫の゙飼育状態については今まであまり触れて来なかったので、ここで触れることにする。

まず、産卵は1日一袋を゙基準として、洗濯ネットの゙中で産卵させたのはすでに触れた通り。

幼虫の゙数には著しいばらつきがあったため、途中で小分け作業を゙行った。袋に入れた幼虫の゙数は平均4頭。終齢まで食べられるだけの餌が入った袋、洗濯ネットに小分けした。こういう感じ。



この狭い一角にハマセンダン、キハダ、カラスザンショウが植えてある。これらの木は秋になると徹底的に枝を落とされ(下から枝を沢山出させる切り方とか時期にちょっとしたコツがある)、翌春には多数の下枝を゙出す。かなり下から切らないと、カラスザンショウなどは1本だけが高く伸び、飼育に使えなくなる。イメージとしては桑畑の゙クワの木の゙ような形に無理矢理整形されている。その木の枝で、一番高く伸びた枝から順に袋を掛けている。日当たりが良く、通風も゙良い場所、高い木の上の方に産卵するミヤマカラスアゲハの゙生態を゙意識した袋掛けである。カラスアゲハだったら日当たりの゙悪い下枝に袋掛けするだろうか。

当たり前だが、写真で見えるのは小分けした幼虫を゙袋掛けした位置であり、産卵に用いた枝は多分この写真では見えない、もっと下、日当たりのあまり良くない位置だ。こんな直射日光が当たる位置で採卵してしまったら、雌は半日も保たずに死亡するだろう。野外では成虫は日当たりの良い位置で飛び回っているが、飼育環境では、炎天下の直射日光は成虫に対する死刑宣告に等しい。成虫はなぜこんなに直射日光に弱いのか、こういうことかな、と考えていることはあるが、まあ、よくわからない。


3種の゙食樹に関して、どれが最も成長が良いかというのは、気になる所だ。大抵の方はカラスザンショウが最高と考えるだろう。最も力強く伸び、香りが強く、美味しそうだ。


しかし、今回確認した感じではカラスザンショウでの葉の減り方はあまり多くなく、ハマセンダンで最も盛んに摂食していた。ミヤマカラスアゲハの゙幼虫は柔らかい葉に対する嗜好性が強く、キハダの場合でも枝の下の方から出た立派な葉は食べず、食べられた後に出た若葉を゙盛んに食べる程だ。

とは言え、これら樹種による幼虫期間や蛹の大きさに差は確認できなかった。どの木の゙葉を食べた場合も、蛹化に必要なだけの葉を食べて、必要なだけ成長して蛹になるようで、最終的には差が認められない。要は餌としての優劣はない。


蛹を゙取り込んだものが下の写真。



蛹の゙数は、幼虫の時に調べた数より若干は目減りしていると思うが、今のところ病気の発生は確認していない。多分200近くできるだろう。


そんなに沢山どうするの、と思うだろうが、蛹になった時期で区分し、早い、中間的、遅いの3グループ各30程度、合計100弱を゙手元に残す予定。


それでも100個位余るね。

うん、そう。いつも死にかけの゙ボロボロの゙雌を゙使って20卵とか30卵とか産卵させていたが、今回は未交尾雌だったから、限界まで産卵させてみたかった。


残った幼虫の゙引き取り手のあてはあるの?

ある。余った蛹の゙ほとんどは、アゲハの゙達人が虫オクで売り捌いてくれる。だからこのブログの゙読者で手に入れる人もいるかも知れないね。


この蛹を常温で保存すれば、多分7月半ばには羽化する。ミヤマカラスアゲハの゙飼育で、7月は魔の季節だ。屋外の゙袋掛けでも関東の゙平野部ではまず育たない。本当は6月に飼育するのも怖かった。やったことのある人なら知っていると思うが、屋内の゙密閉容器では6月でも難しい。大抵は終齢末期で病死する。


7月に羽化させても、暑すぎて、多分交尾産卵はうまく行かない。仮に産卵までうまく行っても、途中で幼虫は死ぬ。終齢幼虫にできれば御立派と言う感じだ。


来春春型を゙得るためには、8月に産卵させる必要がある。8月の初めはまだ十分暑いが、若齢ならば何とか育つ。季節の進行と共にだんだん涼しくなるからだと思う。終齢幼虫の゙時期をお盆過ぎにできれば勝利は目前。


8月に産卵させるためには、冷やして成虫の羽化を遅らせるしかないだろう。その゙結果得られた卵、幼虫が無事育ち、越冬蛹になれば春型から1年後に春型が得られる。累代飼育は成功。


1年でコツが掴めれば、多分何年でも続けられる。羽化した雌雄から、綺麗な個体を選んで二三年累代飼育を゙繰り返せば、噂の秋山郷の゙ミヤマカラスアゲハが裸足で逃げ出すような個体が羽化してくるかも知れない。


蛹を手に入れた方、ミヤマカラスアゲハの゙累代飼育、一緒に頑張ろうね。うまくいったら是非やり方などを゙教えて下さい。私の作戦は次回以降に書く。