雄が死んだ翌日と翌々日も好天に恵まれ。雌は産卵を゙続けた。これらの卵の中にもすでに孵化兆候があらわれているものがあり、三度目の交尾も正常だったことが確定する。産卵数が減っても、もう再交尾させることはできない。餌を与え、産卵を゙続けさせること以外にできることは、もうない。


後から分かったことだか、毎日の産卵数にはかなりの゙波があり。10卵に届くかどうかと言う日も、50卵に達する日もあった。とは言え、毎日少しずつ産卵すると言う産卵の仕方は、ミヤマカラスアゲハでは過去にあまり経験がなく、この後の作業も考えると、大変有り難いものである。


ミヤマカラスアゲハに産卵させると、雌は短期間で100卵近い大量の卵を産んで、産み終わった翌朝には死んでいることが多い。死んだ時点では腹部にほとんど卵はなく、産卵が完了するまで母蝶を生かすような活性物質が卵が出ていて、卵がなくなり、この物質が尽きると死ぬのではないかと想像している。雌は卵によって生かされており、お腹にまだ卵がある場合、余程のアクシデントがない限り死なないが、腹部にあるすべての゙卵を産み尽くすと、役目を終えたと言うように死に至る。


今回の雌はそれほど多くない卵を゙ほぼ毎日産み続けている。飼育する側から言うと、この毎日少しずつというのは、この時期に発生しやすい病気への対応上、大変有り難い。


袋掛け飼育の゙場合、一つの袋の中の個体の全部が病気にかかり。全滅することが普通に起こるが、その最大の原因は、飼育者の゙手だと思う。一つの袋の中に多数の幼虫がいたら、どこかの゙段階で小分けする必要があり、その際に幼虫に触れる可能性が高い。


病気の幼虫に触れた後はよく手を洗い、その日はもう健康な幼虫には触れないことは基本であるが、それだけでは駄目なようで、健康な幼虫の体の゙表面や歩いた枝や葉などにも、病原菌が潜んでいるのだろう。気が付かないうちに、健康な幼虫の体に病原菌を゙なすりつけているの゙かも知れない。


一つの袋に10から20ということになると、かなり後の段階まで小分けが不要になり、幼虫に触れる機会は非常に少なくなる。病気の伝染の可能性を゙かなり下げることができそうだ。


とは言え、手持ちの木で、産卵に適した場所には限りがあり、もう1箇所か2箇所程度しか残っていない。予報によると、明日土曜日は好天だが、その後日曜日、月曜日と2日ほど天気が悪く、その後3日ほど好天になる。

現在の産卵数は、卵の段階で知人に分けた分も含めて合計8袋であり、3回目の交尾の後、2袋産卵している。産卵数の正確な確認はしていないが、ここまででざっと120卵程産卵したようだ。


採集してから2週間を゙超えており、袋の中で歩く姿もたどたどしく、そろそろ限界かなと感じる。実際、前日餌やりの゙時に確認したところ、すでに後肢は1本が完全に取れており、先端まで完全に残っているのは、前肢2本を゙含めて3本しかなかった。そのせいだろうか、袋に産む卵も増えてきた。思うように葉や枝に止まり、産卵姿勢を取ることができなくなっているのだろう。

産卵するのはせいぜい後1週間だろうか。もういつ死んでも不思議はないが、まだ生きていると言うことは、まだ産卵したいのだろう。


産卵数も減りつつある。この先は袋を毎日取り替えるのはやめ、2日で1袋、合計10袋までとしよう。それで終わらなければ、最後の1袋での採卵を続ける。

毎日1袋に換算すると、ここまでが8袋。予想通りあと4日の産卵で終了するとしたら、合計産卵数は1日15卵として180卵。

そこまで行くかどうかは分からない。明日以降全く産卵せずに終わったとしても、すでに120卵、もう十分、ご立派と言えるレベルだ。いつ終わったとしても、それが限界だったと考えよう。


この雌のおかげで、約20日間にわたり、ほぼ連続的に飼育経過を見られる。こんなことは過去になかった。


ミヤマカラスアゲハの゙幼虫は暑さに弱いことが知られているが、特に弱いのは終齢末期である、終齢幼虫にまでは普通に行くが、蛹にたどり着くのが難しい。早く産卵したものは6月下旬までに蛹になるだろうが、今から産卵された個体の゙蛹化は確実に7月になる。7月10日を過ぎる可能性も゙高い。


前蛹の゙まま死亡することも珍しくない。この゙後に産卵された卵が蛹になれるのだろうか?天気には勝てない。努力だけで何とかなるとは思わないが、可能な限りの努力はしようと思う。