花にはカラスアゲハ、オナガアゲハ、クロアゲハ、ジャコウアゲハなどが来ていたが、天気は良いものの風が強く冷たいせいか、以前見たほど多くはない。しかし、到着後10分と経たずにミヤマカラスアゲハの゙雌を゙採集した。


少しして、ひどく破損した雄も゙採集した。非常に小さい。



これ以上この寒い風の中にいてもミヤマカラスアゲハの゙追加は望めそうも゙ない。そして雄も採集したのだから、そもそも追加は要らない。早々に切り上げ、日帰り温泉施設「湯の国会館」に寄った後帰宅することにした。ネットを広げていた時間は1時間にも満たない。湯の国会館にいた時間の方がずっと長かった。


バスの中、そして電車の゙中で三角缶を゙開いて確認した。嬉しくて何度も見る感じではない。うん。確かに雌だよな、間違いない、生きている、と言う感じ。余分な三角紙はすべて三角缶から外し、リュックの゙ポケットに移した。どちらの個体も非常に弱々しく、三角紙からの圧迫だけで死亡する感じがしたためである。唯一の心配は、この破損した雌が帰宅前に死亡することである。


上の写真はピンボケなのでわかりにくいだろうが、何だかお腹が細く、雄と大差ない。ミヤマカラスアゲハの゙雌らしくない。下の写真を゙見れば少しは分かるかと思う。前翅の゙黄緑が美しいのはともかく、飛び古した雌は普通もっとお腹がボテッと太い。


産み尽くしに近いのだろうか?だとしたら、もう大して産卵はしないだろうが、それはいい。1日産卵させて再交尾かな。多分お腹に卵はあまりなく、一度目の交尾で得た精子もほとんど尽きているだろう。産み尽くしか、精子切れのどちらか、またはその両方。明日1日産卵させてみて、あまり産卵しなかったら、すぐに再交尾させて別のセットとしよう。後のセットの中に、前の゙セットと同じ雌雄の組み合わせの゙卵が1卵混じるが、その辺は無視。雌は同じでも雄が違う2セットができる。餌を飲ませながらそんなことを考えた。


雄は下の写真の個体。ツマグロヒョウモン程度の゙大きさだが、何とか交尾はさせられるだろう。

8月に育った個体でこんなに小さくなることは考えにくい。9月に第三化として発生した個体が産卵し、幼虫が大きくなる前の゙10月頃に葉が枯れてなくなり、小さな蛹になったのだろうか。5月、7月、9月。去年は特に暑かったので、この地域で第3化が発生しても不思議はない。



前の写真から見て、後翅裏面の゙ラインは鮮明なので、きっと綺麗な雄だったのだろう。羽化直後であれば多分美男美女だ。
こんなみすぼらしい雌雄を゙採集して、喜んで家路に着く採集者は多くないだろう。特にこの雄に至っては、ネットに入っても逃がす人がほとんどではないか?
ところが、この破損した雄は、この後の話において主役級の゙役割を果たすことになる。と言うか、この雄が採れなかったら、話は何も始まっていないのだ。