多摩川流域は下流の日野周辺と、中流の五日市の近くを歩いた。

日野周辺は多摩川の自然堤防の周辺、五日市周辺は多摩川の南、行政的には八王子市に入る場所を調べた。


日野市の多摩川沿いには非常に多くのエノキが見られる。エノキの数と比較すると決して多いとは言えないものの、エノキの根元には幼虫が見られた。今回確認した限り、そのすべてがゴマダラチョウの幼虫であった。


最後に別の形で詳述するが、ヒトの影響を無視した場合、ゴマダラチョウ本来の主たる生息地は河川の中流ないし下流に沿った林ではないかと思っている。このような場所では、自然堤防の内側にはヤナギを含む雑木の林、自然堤防の外側の後背湿地にはハンノキ林が成立するが、そのどちらにもエノキが混じる。このような環境がゴマダラチョウの本来の生息地だと思う。もっとも、前者は河川敷のゴルフ場。野球場など、後者は水田ないし住宅地となっているため、現在ではゴマダラチョウが生息可能な場所は多くはない。


五日市に近い多摩川沿いは河川からやや離れた山裾の小さな谷沿いを調べた。この付近はいわゆる里山的環境に近く、集落とその周囲の畑などが沢に沿って見られる。また、そこから多少離れた場所には、ゴルフ場、学校などが広い敷地面積を占めていた。

このような場所で沢に沿った砂利道を歩いたが、エノキの本数は多くなかった。道沿いの一本にはオオムラサキのみが見られ、畑の脇のエノキでは多数のオオムラサキと少数のゴマダラチョウが見られた。


どちらの場所からも、アカボシゴマダラの幼虫は確認できず、五日市周辺の山裾はオオムラサキが多く、日野市周辺などの河川敷はゴマダラチョウという傾向を再確認した形である。ただ、五日市近郊の山裾の畑の脇のエノキの根元にいた幼虫のほとんどがオオムラサキだったのは予想外。私の印象では、畑の脇はゴマダラチョウが多いと思っていたが、思っていたよりもオオムラサキの方が優勢らしい。