昨日コヒョウモンモドキの幼虫の入ったプランターを屋外に移したが、この位置でも前回アップした写真の下側には若干直射日光が当たることに気付いた。この位置に日が当たるのは多分1週間程度であろうし、最後に孵化した7月16日産卵26日孵化分以外の幼虫は、もう葉の裏にこもったきり、表には現れない。だから多少直射日光が当たっても問題ないとも言えるのだが、明日からまた暑い夏が戻ってくると言う予報もある。今日のうちに対策を立てて置いた方が安全だろう。要らなくなったら外せば良い。
完全に覆ってしまうと暗く、通風が悪くなる。プランターの上の方に、写真の下側の日射を遮る程度の段ボール製の屋根を取り付けた。
これは日除けであると共に「自分避け」でもある。
もう幼虫達は半分休眠状態にいるから、もうオオバコの水やり以外にやることはない。頭では分かっていても、つい見たくなる。時間があると、1日に何回も開けたくなる。
幼虫はほとんど見えないため、もしかしたら皆死んでいたり大分減っているんじゃないかと言う疑心暗鬼も沸いて来て、糸で作った巣を壊したり、葉を裏返したりして、幼虫の様子を見たいと言う衝動に駆られる。そんなことをしても百害あって一利もないことは、頭では分かっているから、結局はやらないが、やりたいと思う気持ちはあるため、また袋を開けてみる。
この屋根で中を覗きにくくなった。これはいいことだろうなと思う。
そんなことをしていると、O氏から、飼育していた幼虫のほとんどが逃げ出したと言う連絡があった。
これ、失敗ではないんです。私の飼育と彼の飼育では目的、勝利条件が違うから。
私の飼育の目的はコヒョウモンモドキの飼育をマニュアル化することであり、勝利条件は最大数の健全な成虫を得ること。
彼の飼育の目的と勝利条件は可能な限り自然に近い条件で飼育し、その生態を観察、撮影すること。
勝利条件が違えば、やれること、やれないことは違ってくる。
観察レポのページを見ると、我が家の幼虫と同じ程度のステージにある元気な幼虫が撮影されている。
うちの幼虫の一部を郵送しても、意味がないかも知れないな。後はこの幼虫の動きが鈍くなり、眠りますと言うだけだし。休眠中の幼虫の写真なら、来春休眠明け直前でも撮れる。
私の目的からは、容器に袋をかけざるを得ない。彼の目的からは、袋はかけたくない。それでも休眠直前の写真は撮っているし、それだけでなく、ある程度成長すると、葉が残っていても株を離れる場合があると言う生態的新知見をモノにしている。
損害軽微もいいところ、大勝利じゃないか。後は私が無事幼虫の休眠に成功し、来春この後の状態の様子を撮影する材料を提供するだけ。
それにしても面白い習性だ。蝶の幼虫と言う奴は、蛹化直前や葉が食べられない状態にならない限り、葉にしがみつくようにして生きているものだ。袋をかける目的は、逃げ出すことを避けることではなく、ハチ、アリなどの攻撃を避けること。
コヒョウモンモドキの幼虫は、夏にある程度餌を食べると、餌から離れる性質があるのか。必ずではないかも知れないな。うちの右側のプランターの幼虫にはその気配があったが、左側のプランターの幼虫はおとなしかった。ある範囲内の餌を食べ尽くすと、分散行動のスイッチが入るのかもな。
冷静に言って、小さなクガイソウにずっとしがみついて、株が枯れるまで食べ尽くす生き方よりも遥かに賢い。逃げた先が草原ではなかったのは幼虫達には災難だったが、草原であれば、一定の確率で食べられる植物にたどり着けるだろう。コヒョウモンモドキの幼虫はクガイソウが少ない環境への適応の方法を身に付けつつあるのかも知れない。これ、彼の凄い発見かも。
そんな訳で、私のページだけでなく、「観察レポ」の更新もしばらく減りそうです。