第一陣、赤の袋(以後、Aと呼ぶ)の摂食が目立って来た。こんな感じ。



まだまだ食べられるとは思うが、産卵木の健康も考えて屋外袋がけに移行する。こういう感じ。


袋をかける前に枝を徹底的に振る。枝で待ち構えている寄生バチを振り落とすためだ。それでも完全はない。蜂が入っていた袋の中の幼虫は一つ残らず寄生されるため、小分けして何袋かは生き残ることに期待する。

結局この産卵木には60程幼虫がおり、未受精卵は2個だった。ざっと50位と見ていたが、当たらずとも遠からずか。
この幼虫達を約10頭ずつ、6袋に小分けしたが、その際、キハダだけでは不足するため、ハマセンダンにも袋がけした。
ハマセンダンは北海道や本州北部の成虫は産卵してくれないが、幼虫の餌としては問題ないはずである。


幼虫達は孵化後1ヶ月ちょっと、大体6月末から7月上旬頃に蛹になるだろう。ここで今回やりたいことについて触れておく。


昨年、長野県北部産や屋久島産ミヤマカラスアゲハを利用して累代飼育を試みたが、あまり成功しなかった。羽化した個体が虚弱であり、交尾させられない雄や、交尾後も十分産卵できない雌が多くなり、とても累代飼育に成功したとは言えない結果になってしまった。昨年分かったことは、5月下旬に産卵させた個体が最も安定して蛹になると言う事実だけであり、これは、梅雨末期、猛暑になる前に蛹にすべきと言う意味で、確認するまでもなく当然のことである。


羽化から8月中旬までの保存に失敗したのは、蛹になった後や羽化後2、3日程度の個体を冷蔵庫で保存したためたと考えられる。蛹や成虫が固くなった付近から冷やし、蛹の時期や羽化後の成熟期間を伸ばそうと考えたのだが、このようにすると、冷やした後にかなり時間が経過しても生殖能力は低いまま上昇せず、累代飼育には使いにくくなる。


なぜそういうやり方をしたかと言うと、成熟した成虫を長期間冷蔵庫で保存すると、害が出ると考えたのである。結果としてはこの考え方は誤りであり、本年は昨年とは逆をやろうと思う。

蛹や羽化後すぐの成虫の時期に冷やすことは止め、成虫になってから5日程度までは完全に常温に置こうと思う。冷やすのは成熟した後である。



成熟した後の成虫を真夏に約1ヶ月冷蔵庫で保存して害はでないのか?その害を恐れて昨年は蛹や羽化直後の成虫を冷やしたのではなかったのか?あるいは、1ヶ月生かせるのか?


その点に関しては、「秘密兵器」がある。それについては次回触れる。