すでに産卵を終えている屋久島産ミヤマカラスアゲハの系統と予想蛹化日を列挙すると下記のようになる。


(2)B系統2頭(1化成虫)産卵、 6月20日頃

(3)A系統、B系統各1頭(1化成虫)産卵、7月6日頃

(4)A系統2頭(2化成虫)産卵、7月13日頃



蛹になってから10日程度で羽化し、羽化の開始から交尾、産卵までは1週間程度はかかる。したがって、普通にやっては8月10日、17日、24日に産卵は無理である。


これらの他に


紀伊半島産、6月15日頃蛹化

信州産、7月1日頃蛹化


がいる。


紀伊半島産は昔和歌山の荒船海岸で10月に入ってから雌を採集したことがあり、久しぶりに紀伊半島産を入手したので、懐かしさもあって飼育している。どうしても累代飼育をしたいと言う程ではないが、できたらやりたい。飼育は順調で、すでにかなり多くの蛹ができている。


信州産は屋久島産程調べたいことがあって飼育している訳ではないが、折角きれいな個体を選んで産卵させたので、累代飼育は成功させたい。課題としては、来年時期を変えて冷蔵庫から出し、翅の色の違いは見てみたい。


多少とも失敗が許せるのは紀伊半島産であり、紀伊半島産が保存する蛹の中で一番早い。ここは実験台になって貰おう。


何の実験台かと言うと、蛹や成虫がどの程度の期間冷蔵保存に耐えられるかを調べたい。ただし、冷蔵保存と言っても低温処理をしたいわけではないので、5℃以下と言うような過酷な低温にするつもりはない。冷蔵庫(食品用の冷蔵庫とは分けている)の目盛を最弱にして、10℃近く、命に別状がない程度、形態形成や加齢が遅くなる程度のマイルドな低温に保つ。


仮に蛹で1ヶ月、成虫で1ヶ月の合計2ヶ月の保存が可能とすれば、最近蛹になっている紀伊半島産を、8月末に産卵させることも可能である。


その様子を見ながらではあるが、信州産は7月中は蛹を冷蔵保存して、8月になってから羽化させたい。短期間の成虫の冷蔵保存期間を加えて、8月後半に産卵させられるだろう。


屋久島産(2)、(3)、(4)を順に8月10日、8月17日、8月24日に産卵させるとすれば、保存期間は順に50日、40日、40日程度である。


全く冷却しなくても、蛹の羽化、成虫の成熟には合計20日近く必要だから、冷蔵保存で引き伸ばす期間は順に30日、20日、20日である。

成虫での冷蔵保存が順調に行けば、(2)や(3)で羽化した雄を(4)の交配に使うようなやり方も可能だろう。

経験的には、成虫の冷蔵保存は、週に2、3回の餌やりを切らさなければ1ヶ月程度は全く問題ない。


酷暑の期間は冷蔵庫で休んでもらう。それ以外の方法はないだろう。


そういう訳で、我が家のミヤマカラスアゲハは、この後順次蛹になり、冷蔵庫の中で猛暑期間をやり過ごす。快適ではないだろうが、酷暑よりはましだろう。


その過程で色々気を使うことはあるのだが、地味な話であり、ブログの記事としては面白いものが書けそうもない。羽化成虫の写真などを添えて、飼育中のミヤマカラスアゲハについて話題にするのは、7月末か8月初めの紀伊半島のミヤマカラスアゲハの羽化だろうか。


それまでの間、多少はフィールドに出て、何らかの記事を書くことはあると思うが、ここで一旦ミヤマカラスアゲハに関する連載記事は中断する。中断明けはいよいよ本番、来年の春型羽化に向けての飼育に入る。