1月17日、このブログを開設した翌日になるが、私は小原町と言うバス停でバスを待っていた。宮之浦からは、永田方面、栗生方面、白谷雲水峡の3方面に向かうバスが出ているが、そのすべてが通るバス停は4つ位であろうか。そのうちの1つが、田代別館という大きな旅館の前にある小原町のバス停であり、白谷雲水峡からバスで空港や栗生方面に向かう人は、ここで乗り換えることになる。
16号線の情報が得られたから島に行くと言うのは分かる。しかし、林道は逃げない。もっと暖かくなってからじっくり歩けばいいじゃないか。
もっともな意見だ。目的が16号線林道だけだったらそうする。ただ、これは別の機会に書くが、屋久島に来た目的はもう1つあって、その目的からはギリギリと言うか、はっきり言って遅すぎ、すでにタイムアウトかも知れないと言う状況があり、今年はもう無理だろうと言う感じで諦めかけていた。ところが16号線の情報も掴んだため、急遽来ることになったのである。
ずっと気になっていた林道。なにがしかののことは書きたいと思っていた。しかし、役場公認の形での情報があったとはいえ、16号線についてはっきり書くか、多少とも場所をぼかす書き方をするかはまだ決めかねていた。すべては実際に歩いた後の話だ。
白谷雲水峡行きのバスが見えてきた。手を上げるとワンマンバスの前扉が開く。
チッ、運転手は若造かよ。これじゃ期待できないな。そんなことを思いながら、整理券を取りながら運転手に聞く。
「森の展望台と言うバス停、停まりますよね」
本当は、停まることは分かっている。それどころか帰りのバスの時間も分かっており、始発のバスが着いてから最終バスが来るまでの7時間ほどの時間をかけて、バス停から15分程の所にある林道入り口から林道に入り、林道の終点までゆっくり往復するのが今日の予定である。しかし、分かりきったことを聞いたことには2つ理由がある。
1つは実際上の理由。白谷雲水峡の手前には、森の展望台、雲の展望台と言う2つのバス停がある。途中の何もない所にぽつんと作ったバス停。長いバス路線には、こういう年に1人乗り降りする客がいるかどうか怪しいようなバス停が時々ある。運転手によっては、誰も降りないと決めつけ、アナウンスをしないとか、バス停が通り過ぎてからアナウンスすることがある。それをやられては予定が狂う。さりげなく降りることを伝えて置きたかった。
もう1つの目的、実はこっちの方がずっと大きいのだが、運転手さんと話すきっかけ。
「あんな所で降りてどこに行くの?」
とでも聞いてくれればしめたもの。勿論
「林道歩きをしたいんです」
などと正直に答え、反応を見る。
昔16号線を教えてくれた、タクシーの運転手さんのような、初老の、島のことをよく知っている、人懐こく話好きの運転手さんを期待していた。島の観光や交通に詳しい人の情報が少しでも欲しかったのである。
若い運転手さんは驚いたように
「は、はい」
と答えた。このボウヤじゃ無理か。そう思いながら予定通り運転席の真後ろに座った。
15分程で目的のバス停に着く。林道の入り口は、ここから少し下った所だ。入り口が見えてきた。


綺麗に舗装されており、入り口には鍵がかかっている。40年前はきっと誰でも通れたんだろうな。

よくある車両通行止めの立て札。手書きで白谷林道とある。そう言えば、昔は白谷雲水峡なんて言う気取った名前はなかったかも知れない。単に白谷渓谷だったかも。だから説明に困ったんだったかもな。
支線番号が書いてないのが残念。16号とか書いてあったら感動で泣き崩れる所。

道を更に進むが、道の両側の草がよく刈られているのには驚く。所々で舗装は切れているが、それとて4WD車は勿論、車高の低い乗用車でも楽に通れる程綺麗に整備されている。
一般車両通行禁止の道を数キロ進んだ場所がこんな綺麗な道って普通あります?これ、林業作業は勿論、緊急時への対応にしてもお金かけ過ぎ。


道が良すぎて昼前には林道終点に着いた。ここまで歩いて来る人はいるようだ。

しかし、林道終点から先に進むことは厳しく禁止されている。

林道終点のこの立て札の指示に従い、私もここで引き返すことにしよう。

歩いて色々考えたことはあるが、それは明日。