食い入るように山行の情報を見る。まずは軌跡。
スタートは白谷雲水峡に向かう途中の林道入り口。ゴールは宮之浦。これはGPSのスイッチを入れて切った場所だな。途中の林道での軌跡の、林道からのずれがひどい。私の持っているガーミン64ならば、林道の付け替えを疑うレベルだ。しかも行きと帰りで違う。林道は付け替えられてはいない。GPSの精度がひどく悪いのだ。
登山用GPSは衛星、つまり上空からの電波が頼りなので、乗り物の中などでは良いデータが取れない。そうか、登山用GPSを使っているのではないんだ。Yamapのページに投稿されているのだから、YamapのGPSアプリを入れたスマホを持っているのだろう。それをズボンのポケットにでも入れているんだ。投稿された方はガイドさんのようだから、普段はお客を乗せる車に、役場の職員を乗せて運転している。そんなところだろう。
林道の終点の少し手前で車を降りた形跡がある。この辺で車を停められる場所があって、歩き出したか。宮之浦川に沿った林道の方なら、地図に載っている場所よりも、林道を奥まで伸ばせそうだったが、こちらの林道はこの辺が限界。林道の終点は昔と変わっていないと言うことだな。
林道の終点から、沢に沿ってまっすぐ歩いている。これは少し意外。
林道終点から登山道を作る場合、急斜面を右手にトラバースし、馬の背を経て高塚山手前の広い尾根を歩かせるのが一番歩きやすいルートかと思っていた。沢の源頭はそれなりにガレているだろうに、一直線に峠から尾根を通って高塚山に向かっている。まさしく最短距離。熟達者が歩くための道の作り方だ。その先のルートはそれ以外ないと思っていたが、やはり高塚山-縄文杉-高塚小屋か。
次に写真を見る。8:49分に林道入り口を出発。途中9:04分で沢の写真を撮っている。大きな沢とぶつかる位置は林道を3分の2ほどいった所だから、15分でここまで行けたか。すいすい走ってるね。沢での車の乗り降りを考えても、林道終点には9時15分か20分には着いただろう。車から降りて少し伸びをして作業用の道具をチェックし、足回りを整えて9:25分に歩き出し。そんなところだろう。
そして、10:31分に高塚小屋に着いている。縄文杉から高塚小屋までは公称8分。つまり、縄文杉通過は10:23分。林道終点から縄文杉まで58分だ。
間違いない。縄文杉まで歩いて1時間の道は本当にあったのだ。
2017年7月25日に投稿された記事だから、もうかなり沢山の読者が着いている。質疑応答のような投稿もある。
「地図に載っていない道なんですか?」
いい質問だ。
「地図には載ってます。緊急時や、山の整備のために、特別な許可を受けた車だけが通れる道です」
林道についてはその通りだろう。でも、それは答えの7割でしかない。林道の終点から縄文杉に向かう登山道は今も昔も地図には載っていない。

ではまた明日。