大河ドラマ「平清盛」第22話「勝利の代償」見ました。


いやー、なんかね。


頼長さま・・・・(涙)


開始早々、頼長の首に矢が刺さり。

もう、そこから終わるまで動悸が止まらなかった(涙)


血まみれで奈良に辿り着いて、父に面会を求めるも拒絶。

可愛がり続けた息子に会いたい忠実。

でも、藤原摂関家を自分の代で滅ぼすわけには行かない忠実。

重傷を負ってはるばるやってきた息子に面会を許さず、縁側で座りつくす忠実。


血の気の失せた紫色の唇、声にならない声。

頼長のほほを伝う涙、口から流れる真っ赤な血・・・・。


そして、朝方。

瀕死のオウムが飛んできて、死の間際、忠実に言った言葉が「チチウエ」

頼長が最期につぶやき、オウムが最後に憶えた言葉は「父上」

「我が子よォォォォォォォォ!!!!!!」

オウムの遺骸を抱きしめて、悲痛な絶叫。


なんだこれ・・・・

開始20分で、ワタクシの残りライフはゼロになりました。

「え、まだ半分あるの?もう乗り越えられない・・・・」って天を仰いだよ(-"-;


「我が子よ!」と慟哭した忠実。

亡くなる直前に「我子」と写経した経典を贈った鳥羽院。

「自分の死後、日本は大変なことになる」と危惧していたという、鳥羽院と藤原忠実。
このお二方に「我が子」という同じキーワードを散りばめるなんて、脚本家の史料の読み込みの深さを讃えるとともに、人格を疑いますわ(褒め言葉)

来週は、為義にどんな「我が子」を言わせるのかねぇ?

いや、もう息子の出世を知って喜んだ、あの小日向サンの顔で、クリティカルヒット受けてますけどね!

そんな源氏の頑張る子・由良御前は、できた嫁ですね。
でき過ぎて自分を苦しめてしまうタイプの女性なのではなかろうか。


そして、忠正おじさん・・・・(涙)

今回も子煩悩で優しい、一門一筋な忠正が描かれていました。
竹馬の回とか、まさかこんな伏線が張ってあったなんて・・・・。

壊れた竹馬を見て「また作ってやる」

また作ってやる・・・・また・・・・また・・・・

つーか、脚本家さまは忠正のことになると、本当にメーター振り切っちゃうわね!
こんなにも温かくて人間味あふれる忠正像、嬉しいんだけど、もう切なさ乱れ撃ちです。

そして、今回まったく姿を見せなかった頼盛。
「登場しない」ということで人間の心理を描くなんて、すごいな。

出なくていいのに登場して、何考えてるのかサッパリだった去年とは大違いだ・・・・。


来週は、いよいよ処刑する回。

また見るのがつらい回だ・・・・・。

ああ、楽しみなんだか見たくないんだか・・・・本当に今年の大河は恐ろしいですね!


そういえば、最近どーしても目が行ってしまうのが、信西(阿部サダヲさん)

前回か前々回あたりから凄みが増していましたけど、もはや「藤原通憲」だった頃とは、ぜんぜん違う人になっていますね。

史実では「黒衣の宰相」と呼ばれた策略家。
いまは、ちょっと前の「躍り出るような野心」よりも、むしろ「もう後戻りは出来ぬ」「自分の失敗は、すなわち自分の死ぬ時。国の滅ぶ時だ」という「覚悟」が眼に光を宿している。そんなふうに見えました。

戦後処理を決める御前会議では、満座を睨みつけて「これからのビジョンがある奴、いたら申し出てみよ!」みたいに一喝するシーンが印象的でしたけど、個人的には藤原忠通につらく当たっていたところに注目です。

忠通は「藤原摂関家」という最高のステータスをもって生まれ育った人ですが、政治手腕は凡庸だったと言われています。

信西は、類希なる才能を持って生まれたというのに、出自の家柄が低かったばかりに出世できなかった人

なので「才能もないくせに高い身分に胡坐をかく奴」が大嫌いで、許せず、それが災いして命を落とす羽目になってしまいました。

忠通は「保元の乱」で手を組んだ相手とはいえ、信西から見たら「凡庸=朝廷のトップにいるべきではない人」と映るわけで。

乱が平定したのを見計らって、忠通への態度を露骨に切り替えて行ったのかな・・・・とワタクシは見たのですが、どうでしょうかねー。

(だったら、ものすごく優秀で信西の才能も認めていた頼長と組んだなら、最高のパートナーたりえたんですがね。彼とは敵対して、凡庸な忠通と組む羽目になった。歴史は皮肉です)


その満座を睨みつける前、頼長の邸宅で、彼の日記(「台記」)を見つけて読むシーンが挟み込まれていました。

そこに書いてあった「国のために努めよ」「私は魂となって朝堂にいる」という記述を読んだ時、「悪左府」の志が信西に受け継がれたんでしょうかね。

(まさか、信西が「台記」と対話するなんて思ってなかったな・・・・)

そして、頼長の「粛清」という激しい一面が、崇徳院や武士たちへの厳しい処分となって現れるんでしょうか・・・・

ラストの「忠正は死罪じゃ。斬首にせよ」と告げられた時の、光のない、暗く黒い清盛の瞳が、なんだか忘れられません。