大河ドラマ「平清盛」、第20話「前夜の決断」見ました。


「清盛の時代の見所は、派手なドンパチではなく宮廷陰謀劇だ!」

という持論は、以前にも申し上げましたが。

しかしながら、甲冑を着た“もののふ”どもが所狭しと画面を占め、スピーカーをかち割らんばかりのウォークライをするというのは、やはり華も迫力もあってイイですねw

本音を隠してポーカーフェイスで足を踏みあう政争とは違って、敵・味方にハッキリ分かれて戦うので、分かりやすくていいなーという面もあります(ドラマも「分かりやすさ重視」という感じで、ハッキリ二極化させていました)

ハッキリ分かれてしまうからこそ、判断には悲劇や葛藤・裏切りの苦しみが付きまとうわけなんですが・・・・。


今回は、前半最大のハイライト「保元の乱」にむけて、登場人物たちが何をどのように考え、振る舞ったかが描かれた話となっておりました。

濃密さは、いつもの倍って感じ。
2回に分けても良かったんじゃない?と思えるほどの展開でした。


完全に失脚した左大臣・頼長さまが、世から捨てられた崇徳上皇と出会うことで、絶望の淵から這い出ます。

「上皇様と私は似たもの同士」
「私ほど、この国を想っている政治家はいないというのに、世の中はおかしい・・・・」
「上皇様の権力と、私の財力があれば、盛り返せます」

はじめに共感を誘い、自分の弱点をさらけ出し、そして希望をつかませて、クーデターへとぐいぐい引っ張り込む左大臣。

それまでの一方的で甘ちゃんな「マモルの鬼(マナー・モラル・ルールの鬼)から一皮剥け、ずぶ濡れの「煽動家」へと変貌。

朝廷と摂関家・・・・政界の頂点から追い出された2人が「決断」をした瞬間でした。

・・・・が、時すでに遅し。というか、そこは信西入道の術中。

すべては、この「黒衣の宰相」の思い通りに事が進んでいきます。
(作中、一度も黒衣は着てないけどな)

そもそも、はぐれ者同士の2人では分が悪過ぎますよねぇ・・・・。
それでも応援してしまうのは、判官びいきでしょうか?それとも、単なるワタクシの愛でしょうか?(笑)

でもって、この2人のやり取りを見ていたら、いつぞやの必殺のテーマソングが何故か頭の中に流れた(笑)
「さびしい同士 目を見りゃ分かる はぐれ者だよ お前も俺も」って、5だったっけか)


平氏の「決断」は、「とりあえず中立」というもので、決断を先送りにするもの。

これは、実際に「保元の乱」の時、平氏はどっちに付くか?の去就を、中々明らかにしなかった・・・・それを再現したものですねー。


なんで平氏は早々に態度を決めなかったのか?

これについては、「池禅尼に遠慮した」と、よく言われています。

平氏は、元々から院に仕える「北面の武士」。
よって、本来なら「鳥羽法皇→後白河天皇」につくのが自然な流れ。

しかし、清盛の義母・池禅尼が、崇徳上皇の息子・重仁親王の乳母だったので、遠慮したら決断が遅れてしまった・・・・というわけです。

また、池禅尼の実子・頼盛(清盛の弟)が元気だったので、その動向を気にして動けなかった・・・・とも言われています。

はたして、
「義母・池禅尼に遠慮した」のか?
「弟・頼盛を警戒した」のか?

ワタクシは、この時間作り(?)を、

「自分を高く買ってくれるように、時局をじっくり見回していた」

あるいは、

「後白河天皇と崇徳上皇が仲直りするのを待っていた」

この、どちらかだったのではなかろうか・・・・と妄想していたのですが。

まさか、この「ぜんぶ」を盛り込んで1本のシナリオにするとは!

それで破綻のない話を紡ぎ出してくるなんて思ってもいませんでした(笑)

しかし、清盛の思惑は信西入道には全てお見通し。
そして、後白河帝が試すような挑発に賭け。

清盛は、後白河帝の陣営に属する「決断」を下しました。

この2人には叶わぬな、清盛・・・・(^^;


あと気になったのはは・・・・。

一言もしゃべらなかった崇徳上皇。

夫の愛妾(浮気相手?)を暖かく迎え入れた由良御前。

そして、常磐を恃めるのが由良しかいないという現実。

鎌田通清・正清の「似たもの親子」の物語。

大切な乳兄弟が抜けて、大きな穴が開いていた義朝。

そして・・・・・・・・忠正おじさぁぁん(涙)


滅多に泣かない、大坂城なみの堅牢さを誇るワタクシの涙腺。

ここまで外堀を埋められて、来週は崩壊してしまうのでしょうか・・・・