実にすばらしいコンサートでした。
私は大磯から直行、後半から聞かせていただきました。
「椿姫」の抜粋です。
村越大春さんは、芸大学部にいらしたときによく、
6ホールの学内コンサートをもぐりこんで聴いていました。
アルフレードの「燃える心を」はその時のカツモクの熱唱を
再び思い出させてくれました。
クリアーな凛とした歌声は本当にしばしばたとえられるように
「トランペット」のよう。
その意味では、力強さが、彼の本領ではない気が致しました。
今日の歌は、正直「もっと金属質の歌が歌えるのを私は知っています」
という歌でした。コンディションも万全とはいえない様子。
普通に判断すれば、求めるのに十分な歌唱ではあります。
でもこのひとの歌「こんなものじゃない」を聴いてしまっているがために
期待は自然と膨らみます。
またこの秋の空のように抜けるテノールを聴きたいものです。
ヴィオレッタの藤谷佳奈枝さんは
高音まで実に不安のない声量とポジションで終始熱唱。
これだけのヴィオレッタ、久しく聴いてないのでは、というほどすばらしい歌でした。
初めて聞かせていただきましたが、ただ旋律を追うでもなく、音楽としての正確さに
加え説得力のあるヴィオレッタを聴かせて頂きました。更なるキャリアの積み重ねで一層の深化を遂げらることでしょう。
そして小林大祐さんのジェルモン、は実にたっぷりと「容量の大きな」歌唱で
ヴェルディが実はかなりこだわっていたであろう「父性」を如実に歌い上げていらっしゃいました。
大野真由子さんのピアノは、備え付けのKAWAIをたくみに好感の持てる
リタルダントでオペラの醍醐味を十分に引き出し、山口順子さんのヴァイオリンは
「椿姫」で禁じえない切なさを誘うのに大変大きな効果を発揮しておりました。
この建築会館ホールはコンサートをするためのホールではなく、会議をするためのホールで、絨毯敷き、歌う環境としては決して最善とは言いがたいものでしょう。今日のキャストの皆様は総じて、その環境に全くエクスキューズをのたまわない、
圧倒的な歌を歌われました。
そして、今回のナビゲート藤丸崇浩氏。
「FUJIMARU INSIDE!!」といわねばなりません。
今回の選曲、抜粋手法がにくい。ああいう風につないでくれれば、
一本丸々オペラ見るよりもむしろ、抜粋でいい、と思わせるに十分な
満足感を得ることが出来るものでした。
藤丸氏の音楽に対峙する姿勢にはいつも、音楽家として、そして音楽愛好者
としての尊敬の念、深い愛情を感じずに入られません。
ステキなコンサートをありがとうございます。