自分は、大学の頃、高校を卒業したばかりの子と付き合ったことがある。
最初は、明るくて元気で、友達もいっぱいいて、そこそこかわいい。
そして頭がよかった。現役で東大を受けて落ち、浪人してもう一度
東大を受けるという。釣り合わないと思ったが、付き合った。
浪人だから、時間の合間を見つけて、デートしたが
会うたびに必ずエッチだった。
いつでもどこでもエッチだった。
で、半年もすぎるとだんだんと彼女への気持ちが離れていった。
何故かと考えてみると、彼女と会うたびに自分がいかに馬鹿で
頭の悪いい男なのだろうかと劣等感に苦しんだからであった。
彼女は頭の回転も速く、話題も豊富だった。
だけど自分には何もない、最初はすごいなと思っていたが
だんだん自分の劣等感が膨らんで苦しくなり、彼女を無意識のうちに
憎むようになっていった。
自分もある程度、名の知れた大学出だが、彼女はそんな俺を見て
俺を基準にして、東大を目指したのではないかと疑った。
それは苦しく辛かった。
キスをするのさえつらかった。
顔を見るだけで腹がたってきた。
俺は彼女に対しては優しく接してきたのだが、自分のその敵意を
まざまざと実感し、最後はどうしようもなくなって、自分から
別れようと言った。
彼女は、自分に変化があらわれてからというもの、ずっと暗くふさぎこみ、泣いていた。そして、自分を引き止めようといろんな形で自分を縛っていた。常に自分を思っていてくれと彼女は言っていた。
その時、自分の作戦はこうだった。あと2年か3年付き合えば、俺は就職する。就職したら、会社が忙しいとかなんとか理由をつけて離れられる。そこまで俺は追い詰められていた。
暴力はふるっていないが、優しい男が結婚した途端に、暴力男にという
その男の気持ちがものすごく分かる気がした。
彼女は結婚、結婚と言っていたが、俺は結婚するくらいなら死んだ方がましだとまで思っていた。
彼女と無理やりに別れた瞬間、自分は助かったと思った。
これで生きることができると思った。
これが強烈な恋愛に対するイメージとなって、自分は恋愛に対して
臆病になっていく。そして臆病になるとともに、手をつないで楽しそうにいちゃついているカップルを鼻で笑うようになる。
恋愛というものに対して、臆病になるとともに、恋愛への願望を抑圧し
そして恋愛している人をいろいろ理由をつけては軽蔑するようになっていった。
釣り合わない恋愛経験が生んだものは、恋愛への偏見であった。