新宿中央公園の桜は昨日の台風のような強い風ですっかり飛び散っていた。
会社の花見のほうは内見会の予定がずれた為、自動的に花見のほうもずれてしまい遅めの3月22日
つまり明日ということになっていたのだが、結局この様子では花見というよりは葉桜見になってしまったなあと松田は溜息をつきながら葉桜を見上げている。

本来イベントの準備は総務部任せになっているのだが今回は通常の新入社員のほかに数十名の中途採用者を
採用した為に其の入社準備のために忙しいので総務のほうから依頼されて商品企画部の方で手伝ってほしいということで廻りまわってデザイナーである松田が下見、場所取りは総務と商品企画部2名でということになっていた。 松田はデザイナーの割には社交性もあるほうだしイベント好きのほうでもあるから、寧ろ自分のほうから僕が行ってきますと言ったのだが公園に来て肩を落とさざるを得なかった。

”部長駄目でしたよ。桜は地面に散らばっているだけですから、、、どうします?送別会も兼ねているでしょう。それに内見会の御苦労さまの意味もあるし、、”


”御苦労さんだったけど、、社長に相談してみるよ しかし今更変更もできないだろう困ったな”

”俺はいいですよ葉桜でも あれはあれで風情がありますからね”そう言ったら
総務の高橋圭子が此方を見て笑っていた。

総務部長の倉本は苦笑しながら”多分そうなるよ 社長はそんなことにはこだわらんからな”と言った。  
松田は企画室のほうに戻って残りの仕事を片付けていた。内見会で反応の良かった商品、不評だった商品の
分別をして精度のあるmdをするのがデザイン業務と合わせて重要な仕事である。 

”細井ちゃんそこのサンプルちょっとっとってくれる? そう、、それ赤いの”

細井陽子はテキスタイル専門学校卒で良く気がきくので松田は気に入っている。松田は大学を出てから
服飾の専門学校を出て今の会社に入った。 今は28歳小さな部門だが社長に気に入られて任されている。元々はアクセサリー専門の会社だが2代目の社長は娘婿で新規事業としてアパレルに進出することを狙っている。面接の時にも其れを確認している。社長直接に。 
恐らく3,4年後には本格的に進出するだろうということであった。

”松田君。予定通り新宿中央公園でやるから準備のほうよろしくな。 といっても関取のために早くいく必要はないと思うから1時間前位に行ったらいいと思うから。 細井ちゃんも頼むよ悪いけど”

いつの間にか倉本部長が部屋の中に入ってきていたらしい。

”人数も80人分でいいですね”

”いや 今回は日本橋のチームも参加するから120人分くらいかな。すまん忘れてった”

”だいじょうぶっす 何人でもシートはまだまだ余裕ありますから あと総務のほうからも応援頼みます ”

”3人は出せるから 其れで頼むよ ”

”楽勝ですね”


全国に支店が散らばっているから全社員数は700人ほどの中堅の会社だが今回のイベントは
東京チームだけになる。

桜清掃される前に集めようか。松田は急に思い立って細井と総務の3人で中央公園に行くことにした。
翌日皆が気落ちしないようになるだけたくさんの桜を集めて花絨毯することにしたからだ。 
営業用のボンゴ2台分に詰めておけば其れなりの雰囲気も出るだろう。

皆良く理解してくれてその日は夜遅くまで公園中の桜を集めて回った。
高橋,細井、井上の女性陣と俺と木村の5人でわーわー大騒ぎしながら子供のように夜の新宿中央公園を駆けまわりながら。 

周りのアベック達やホームレスたちが其れを不思議そうに見ていたけれど。









つづく