優良患者と言われ…
先週の金曜日に舌がんの手術をした大学病院の口腔外科に通院したばかりですが、きょうは摂食嚥下リハビリテーション科(摂食リハ科)に通院しました。
3月末に通院したときに、次は半年後ということで9月の予約でしたが、先生方の都合が悪くなり、きょうの診察に変更していました。
摂食リハ科は、食べることや喋ることのリハビリや上顎に装着するPAP(接触補助床)の制作や調整で、入院中からお世話になっています。
※ PAPの詳しいことは、昨年4月24日のブログ↓に書いてあります。
きょうの診察はいつものように、ベテランのT先生(女性)の問診から始まりました。
前回の診察後、胃の調子が悪くなり内視鏡検査(胃カメラ)で調べたら逆流性食道炎と診断されたこと、どうにかでも食べられるものが増えたこと、味覚の調子がよくなった後、再び悪化したことなどを報告しました。
また、無職になってから話す機会が減ってるため、話す機能が落ちた気がすることを伝えました。
ところが、先生からは「ちゃんと話せてますよ」と言われました。
自宅で奥に話すときは緊張感がなく、気楽に話してしまうと上手く発音できませんが、外部の人に話すときは緊張して一生懸命話してしまいます。
そうすると、発音しにくい「サ行」や「ラ行」の音のところを丁寧にゆっくり発音することになり、どうにかまともに話せるようです。
その話し方は疲れますが、話す機能をアップさせるためには、そのように話す機会を増やす方がよいのですが、なかなか機会がありません。
その後、食べる機能(嚥下機能)のチェックのために、舌圧と口唇圧を測定しました。
舌圧とは、次のように舌の筋肉の働きを示すものです。↓
自分の場合は舌の表側は切除して、そこにお腹の筋肉(皮弁)を移植してあるため、残った舌が皮弁を押し上げる力を測定することになります。
上顎にPAP(舌摂食補助床)を装着したまま測定したところ20キロ以上の値が出て、先生は「中学生並みの値です」と驚かれました。
1年ほど前の測定値より、かなりアップしたようで、先生も予想外だったようです。
次にPAPを外して測定したら、7キロ程度の値しか出ませんでした。
皮弁の先端は歯茎に縫い付けられており、元の舌のように上側に大きく動かせないため、測定用のバルーンを皮弁で押そうとしてもPAPが無いとバルーンが上に行ってしまい、押せなくなるからです。
それでも、先生はこの値は大したものだと言っていました。
舌圧は、食べたものを喉の奥に押し込むことに関係するそうです。
自分は普段から食べにくいものを敬遠しないで、苦労しながらも舌(皮弁)を動かして食べてきたから、その力がアップしたようです。
つまり、食べにくいものを食べ続けることによって、飲み込む力がアップするということです。
そして、これまで測定したことがない口唇(こうしん)圧を測定しました。
口唇圧とは、上唇と下唇を閉鎖する圧力のことで、この力も嚥下機能に重要な働きがあるそうです。
このような器具↓を使って測定しました。
測定機につながる紐が付いた楕円形のプラスチックを前歯と唇の間に挟んでくわえてから、測定器を引っ張って行き、プラスチックが唇から外れてしまうときの力を測りました。
測定値は7キロ程度で、5~6歳児程度の力だと先生は言っていました。
それでも、自分のように舌を切除した患者としては、かなりの値だとのことでした。
なお、家に帰ってネットで調べたら、口唇圧の単位はN(ニュートン)が正しいようです。
結局、食べられるものが増えたこと、話す機会が減ってもその気になれば話せること、舌圧や口唇圧の結果から、優良患者ですねと褒められてしまいました。
以前からT先生は褒め上手なのですが、やはりそう言われて悪い気はしませんでした。
そして、口唇圧はもっとアップする余地があるから、唇を閉じホッペを膨らませるトレーニングや、口から息を吹き出すトレーニングをするとよいと、リハビリの方法を教えてもらいました。
とにかく、口から喉までの筋肉がすべて食べること(嚥下機能)に関係するから、これらの筋肉を鍛えることが重要とのアドバイスでした。
また、口や喉だけでなく、呼吸時に使う肺のまわりの筋肉なども嚥下に関係するから、腕を上げ下げしてする深呼吸をするトレーニングがよいとのことでした。↓
その後、助教のY先生(男性)も診察室に顔を出してくださり、診察結果や測定結果を見て、「がんばってますね」と驚いていました。
そして、何の問題もないようだから、しばらく通院の必要はないと言われてしまい、次の予約は来年の8月になってしまいました。
通院が無くなるのは楽ですが、摂食リハ科の先生とのやり取りは、喋れないことや食べられないことのストレス解消になるので、ちょっと寂しい気がしました。
まだまだ機能アップの余地があるとのことなので、今後はもらったアドバイスを実践していこうと思います。
ちなみに、嚥下機能の低下は、舌がんサバイバー以外の人でも老化に伴って生じることです。
誰もが、食べにくいものでも食べ続け、さらに機能アップのトレーニングを実践した方がよいと思います。