前回は「きく」ことについて述べましたので、
本日は「伝える」ことについて考えてみたいと思います。
「断る力」という本がベストセラーになったように、日本人は自己主張が苦手とされています。
とりわけ人に何か面倒なことを依頼する、周囲からの要求を断る、不満や対立意見など、ネガティブなことを相手に言えず、曖昧に同調した結果、問題解決を遅らせたり、ストレスをためこむということも多いようです。
人に働きかけるための自己表現のスタイルもまた、3つに大別することができます。
3つの自己表現
あなたはとても深刻な相談を抱えて友人を呼び出しました。
ところが、話を切り出す前に友人が、いつも聞かされている上司や家族にまつわる細かい悩みごとを話し始め、いつまでたっても終わる気配がありません。
こんなとき、あなたの反応は次のうちどれに最も近いでしょう。
Aは、攻撃的な自己表現です。
自分のことだけを考え、相手の気持ちを配慮しない自己表現といえます。
自分の意見や考え、気持ちをはっきり表現する一方、相手の意見や気持ちを無視・軽視するので、結果的には、相手に自分の気持ちを押し付けることになってしまうのです。
相手には押し付けられた感じが残りますから、「軽く見られた」「バカにされている」という尊大な印象を与え、反発や衝突を生んでしまいます。
無意識にこういった表現を使っている場合もありますが、続くと、支配関係のようになっていくこともありえます。
自分の意向が通ることがあっても、後味の悪さにつながったり、相手からの信頼はえられません。
Bは、消極的な自己表現といえます。
自分を抑えて相手に同調してしまい、本来主張するべきことができないのです。
相手を思いやる優しい人に多いのですが、つい自分を押し殺してしまうという場合、自己否定や自信のなさが根底にあるため、ストレスがたまりやすいといえます。また相手に対して率直でないため、心からの信頼関係は結果としてつながりません。
特にビジネスの場では、相手任せで依存的な態度に見られてしまうため、自分の意見を出せないことは非常に損をします。
言うまでもなく、コミュニケーションの上級者はCです。
図)コミュニケーションのマトリクス
Cのように、自分のことを考えるが、相手の気持ちにも配慮する自己表現を「アサーション」といいます。
自分の気持ち、考え、意見などが、正直に、率直に、その場に相応しい方法で表現されます。
意見や考えの食い違いが起こったときは、お互いの言い分をよく検討した上で譲り合い、新しい案を加えたりして、双方にとって納得のいく結果を出すことができます。
相手も自分も満足でき、協力が生まれるため、本当の信頼関係を築くことができます。
つづきます。

